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「ラスト・ウキヨエ」展 知られざる明治の絵師

右田年英「年英随筆 羽衣」(前期展示)
右田年英「年英随筆 羽衣」(前期展示)
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 江戸時代に隆盛を極めた浮世絵がいつ、終わりを迎えたのかは意外に知られていない。明治前半に活躍した月岡芳年(よしとし)、小林清親(きよちか)、豊原国周(くにちか)らはしばしば「最後の浮世絵師」と呼ばれ、展覧会などでもそのように紹介されてきた。

 でも実は、彼らより後の世代の絵師らが明治末期まで、浮世絵版画を制作していたという。

 洋画家で、歌川国芳(くによし)を初めとする浮世絵コレクターでもある悳(いさお)俊彦さん(84)は、こうした浮世絵史の最後を飾る画家たちにも注目してきた。悳コレクションの中から、埋もれた明治の浮世絵を掘り起こす「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち」展が、東京・神宮前の太田記念美術館で開かれている。

 同展は前・後期で展示替えをし、総勢37人の版画・肉筆画の計約220点を紹介。ひときわモダンに映る作品は、芳年の門人だった右田年英(としひで)の「年英随筆 羽衣(はごろも)」(前期展示)だ。三保松原の羽衣伝説をもとに、天女が昇天する姿を優美に描いている。大衆向けの浮世絵制作が既に廃れた大正10年頃、あえて伝統的な木版画錦絵で、新たな表現に挑戦した意欲作という。

 尾形月耕(げっこう)という知られざる画家にもスポットが当てられている。美人画と風景画を融合させた代表作「花美人名所合(はなびじんめいしょあわせ)」は一見、木版でなく水彩のようだ。

 同館主席学芸員の日野原健司さんによると、江戸と明治の浮世絵で大きく異なるのが色合いという。「江戸時代の浮世絵は輪郭線が明確で、はっきりした色を多用している。一方、明治の浮世絵では細めの輪郭線、淡い色彩や繊細なグラデーションが目立つ。彫りや刷りの高い技術がうかがわれます」

 悳コレクションは、かわいらしい子供絵も充実している。例えば宮川春汀(しゅんてい)の「小供(こども)風俗」シリーズ。動物園でゾウに見入る子供などは、近代ならではモチーフだろう。

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