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【ゴッホ展この1点】(3)「タンギー爺さんの肖像」1887年1月 芸術家支えた優しき店主

油彩・カンヴァス ニュ・カールスベア美術館 (c) Ny Carlsberg Glyptotek, Copenhagen Photo: Ole Haupt
油彩・カンヴァス ニュ・カールスベア美術館 (c) Ny Carlsberg Glyptotek, Copenhagen Photo: Ole Haupt

 昨日タンギーに会った。僕が描き上げたばかりの絵を店のウインドーに置いてくれたよ -1887年7月下旬、弟テオへの手紙(パリにて)

 1886年2月、32歳のゴッホは突然、弟テオのいるパリへやって来て、兄弟の2年にわたる共同生活が始まる。彼らの住まいは芸術家の街モンマルトルにあり近所にはジュリアン・タンギーが営む画材店があった。

 店主はセザンヌ、ゴーギャンら売れない画家の面倒をよく見たことから、「タンギー爺さん」と慕われた。貧しい画家に対しては、支払いの代わりに作品を預かり、画商のような仕事もした。彼はゴッホのことも気に入り、店内に作品を飾ってくれたり、絵の具など画材も何かと融通してくれたようだ。

 ゴッホは次第に芸術家が共同生活する“理想郷”を夢見てゆくが、それはユートピア的社会主義を志向していたタンギーの影響もあるだろう。2人は思想的にも共感し合う仲だったと、友人画家のエミール・ベルナールは伝えている。

 ゴッホによるタンギー爺さんの肖像画は3点現存し、本作は最初の1点と推測される。

 パリで彼は印象派やポスト印象派の画家と出会い、交流した。本作には筆跡を残した柔らかい作風など、印象派の影響が少しうかがえる。何より、温厚で親切そうな爺さんの人柄が、画面からにじみ出てくるのがいい。(黒)

 「ゴッホ展」は上野の森美術館(東京・上野公園)で来年1月13日まで開催。

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