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【みうらじゅんの収集癖と発表癖】菊人形 恐怖乗り越え仲間入り

菊人形(1)
菊人形(1)
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 オカン制作の古いアルバム。そこに貼ってある僕の幼い日の白黒写真。“あやめ池へ”と万年筆で書かれたページに、その恐怖の館の外観を発見した。

 大きな切り抜き文字で『大菊人形』とある。まだ、幼稚園生の頃だったが、今でもその恐怖の体験はトラウマとなって残っている。

 連れて行ったのはオカンと父方のおばあちゃんだ。入口からも菊の花の匂いが漏れていて、何だか気が滅入(めい)った。館内は薄暗く、静まり返っていたが時折、どこからか子供の泣き叫ぶ声がする。嫌な予感はしていたが、立ち並ぶ時代劇のカッコウをした菊人形を見た瞬間、ゾーッとして一気に血の気が引いた。

 必死で「もう、帰る!」と訴えたが、オカンとおばあちゃんは満面の笑顔で「きれいやなぁー、よう見てみぃー」とくり返すばかり。菊人形の怖さの上に“大人は分ってくれない”怖さが加わり、僕は一目散にもと来た入口に向かって逃走した。その現場写真が〔1〕なのである。

 それから何十年も時が流れ、歳(とし)だけは大人側についた僕だったが、角川映画『犬神家の一族』で菊人形が生首と変わるシーンを観(み)た時、原作者の横溝正史もたぶん幼い頃、僕と同じような体験をしたに違いないと思った。

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