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【逃げる】(中)沈む避難所…ハザードマップ生きず 

 移転の功罪は軽々には論じられない。ただ町が抜本的な対策を講じかねているのも事実だ。町長の保科郷雄(69)は「庁舎の再移転は現実的ではない。排水ポンプの増強以外、考えられない」と明かす。

 今月12日に町議選が告示されるが、復興を急ぐ住民らは選挙ムードからほど遠い。ある立候補予定者は苦笑する。「災害に強いまちづくり? しらじらしい。そんなの争点にはならないよ」

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 丸森町で浮き彫りになった課題は各地で共通する。長野県飯山市では庁舎1階の半分ほどの高さまで水が浸入。同県千曲市でも避難所の文化会館が浸水した。町役場が浸水した茨城県大子町では庁舎移転が決まっていたが、移転先の土地も浸水し計画は見直しに。いずれもハザードマップで浸水想定区域の場所だった。

 「ハザードマップの有効性が証明された現状では、住民サービスと危機管理を分散させてリスク回避を図るのが理想だ。ただ、土地の確保など現実的な制限を前にリスクに目をつむらざるを得ないのも現実だ」。立命館大教授の里深好文(河川工学)は指摘する。

 リスク回避に舵を切った自治体もある。豊後水道に面した大分県臼杵市。市庁舎は津波被害が想定される湾岸部にあるが、災害時に対策本部となる消防本部を25年に約3・5キロ離れた山の中腹に移した。

 里深は続ける。「災害が激甚化する中で、自治体は『必ず被災はある』と確信して対策に取り組まざるを得ない時代に来ている」

 =敬称略

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