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【話の肖像画】元厚生労働事務次官・村木厚子(63)(9)「負の回転扉」を断つ

 裁判はお金が欲しくて起こしたわけではないので、使い道をどうしようかというときに、事件の発端が障害者の郵便割引制度で、刑事司法を初めて経験し、両方が重なった分野が累犯障害者だった。南高愛隣会は以前からこの問題に取り組んでいて、20年ぐらい前に田島良昭前理事長から「知的障害のある人に、一番優しくしてくれるのが暴力団。女の子は風俗で稼いで、男の子は暴力団の使い走りをするんだ」と教えてもらった。現在の「地域生活定着支援センター」をつくるきっかけになる調査研究をリードしてくださったのも田島さんでした。

 結局、福祉などが行き届いていない人たちが刑務所に逃げ込む。検事が取り調べ中に、「僕らは正月前が忙しい」と言ったんですよね。正月に拘置所に入りたい人が多いからって。私は6月に逮捕され、7月に起訴が決まり、拘置所内は冷暖房なしで暑かったんですよ。11月になって寒くなりかけたとき、「ここで冬を越したくないな」と思った。検事の言葉がよみがえり、「それでも、ここに入りたい」という重みが分かった。

 「負の回転扉」という言葉があるんです。福祉の届いていない人が万引や無銭飲食で刑務所に入り、出所して刑務所の門の前に立つと、後ろで扉が閉まる。塀の外に支援がなければ、そこはもと来た道を再び歩む振り出しでしかない。刑務所の内と外が連携して息の長い支援を続けることで再犯は防げると、再犯防止法や再犯防止計画ができた。再犯防止を法務省だけに押し付けるのでなく、福祉、医療、住宅政策、教育の本来の仕事だったと気づいて他省庁も動いてくれるようになった。この分野は一歩前に進めたかなという気がしますね。(聞き手 伊藤真呂武)

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