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作家・眉村卓さん「SF第一世代」 小松左京氏、星新一氏らと切磋琢磨 最後まで書き続け

作家の眉村卓さん=10月2日、大阪市浪速区の産経新聞大阪本社(南雲都撮影)
作家の眉村卓さん=10月2日、大阪市浪速区の産経新聞大阪本社(南雲都撮影)

 3日に死去した作家、眉村卓さんは小松左京さん、筒井康隆さん、星新一さんらとともに「SF第一世代」と呼ばれ、日本のSF小説の黎明(れいめい)期を支えた。鋭く、不思議でユーモラスな“眉村ワールド”はエッセーやジュブナイル小説などにも裾野を広げ、作品は何度も映像化。多くのファンを魅了し続けた。

 眉村さんが執筆活動を始めたのは、まだ「SF」が一般には「空想科学小説」と呼ばれていた時代。れんがメーカーに勤めていたとき、「SFマガジン」に作品を投稿したのがきっかけで、筒井さん、星さんらも作品を発表したSF同人誌「宇宙塵」のメンバーとなり、後に作家デビューを果たした。朝方までの執筆で寝坊や欠勤が続いたため会社は6年で辞め、2年間のコピーラーターを経て専業作家に。

 「人類の進歩と調和」をテーマにした昭和45年の大阪万博の盛り上がりもあって、荒唐無稽と思われていたSFに対する世間の見方も変化する。「SFは、未来を見通した作品だと捉えられるようになりましてね」。眉村さんも次々と作品を発表していった。

 書き上げた原稿はまず、高校の同級生だった妻、悦子さんに見せるのが習慣だった。だが平成9年、悦子さんのがんが判明する。悦子さんを励ますため、眉村さんは毎日欠かさず短編を書くことにした。「僕にできることは、それしかなかった。お百度参りのような気持ちもありました」と後に語っている。

 悦子さんが亡くなるまでの5年間につづった短編をまとめた「妻に捧(ささ)げた1778話」(新潮新書)を16年に出版すると、ベストセラーに。23年には草●(=弓へんに剪)剛さん主演で「僕と妻の1778の物語」として映画化。大きな話題を呼んだ。

 「年月と体験を重ねれば考え方も変わる。その時々にしか書けない作品がある」と話していた眉村さん。80代に入ってもなお執筆を続け、29年に出版した短編集「夕焼けのかなた」(双葉文庫)には、死にまつわる作品も目立った。

 昨年夏のインタビューでは、衰えることのない執筆意欲について笑いながらこう語った。「妻の闘病中に書くのが習性になって、書いていないとサボっているような気持ちになる。書くことしか能がないんでしょうね」(藤井沙織)

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