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【ゴッホ展この1点】(1)「パイプと麦藁帽子の自画像」1887年9~10月

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) (c)Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) (c)Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

 ■自己のスタイル模索

 自分自身を描くことは簡単ではない。(略)人々は絵の中に写真よりもずっと深いところで類似したものを探している -1888年6月中旬、妹ウィルへの手紙(仏アルルにて)

 気負わず即興で描いたデッサンかイラストのように、粗いタッチの軽やかな油彩の自画像。麦藁(むぎわら)帽子に口にくわえたパイプはまさに、私たちの知るフィンセント・ファン・ゴッホだ。

 白を背景に黄や茶、ミントグリーンなど鮮やかな色で構成し、黒は使っていない。印象派の影響だろう。

 ゴッホの自画像は40点弱知られている。「耳切り事件」直後の衝撃的な自画像をはじめ、晩年の作のインパクトが強いが、本作を含む半数以上はパリ時代(1886~88年)の2年間、35歳前後に描いたものだ。

 ゴッホが数多く自画像を描いたのは、モデルを雇う余裕がないという経済的理由のほか、新しい画風や描法に挑戦するのに好都合だったこともあるだろう。本作でも、明るい色使いや筆跡を残す印象派風の描き方を試したのかもしれない。

 写真が普及しつつあった19世紀後半にあって、ゴッホは絵画の可能性を見通していた。彼は、主観的な感覚を重視する印象派の試みに興味を持つとともに、写真では写し得ない「人間の内面」まで表現しようとした。心身の病に冒されても晩年まで自画像を描き続けたのは、内なる自分を見つめ、それを表出させたいという強い欲求が、彼を突き動かしたからではなかったか。(黒)

 「ゴッホ展」は上野の森美術館(東京・上野公園)で来年1月13日まで開催。

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