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【がん電話相談から】Q:卵巣がんで3度の手術、次の治療法は?

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 ■遺伝性を見極め薬剤の選択を

 Q 60代の女性です。平成27年、地元の病院で卵巣がん、ステージ3Cの診断で、広汎子宮全摘術(子宮、膣の上部、子宮周囲組織、卵巣、卵管を含めて広範囲の切除)を受けました。28年、別の病院を受診すると、がんの残存があり、腹膜を切除。定期検診のPET検査でがん再発が見つかり、30年には尿管切除をしました。

 A 卵巣がんの3C期を粘り強く治療してきましたね。現在、化学療法は受けていますか。

 Q 最初はパクリタキセル+カルボプラチン併用療法を、いまはパクリタキセル+シスプラチン併用療法を受けています。

 A 卵巣がん3期全体の5年生存率を聞いていますか。それは40~50%です。ただし、腹腔内に数センチ以上の大きな卵巣がんが拡散(腹膜播種(はしゅ)と言います)している3C期の5年生存率は30%前後に下がります。あなたの場合、4年以上を経てこの状態であれば、治療はうまくいっていると思います。

 Q 治療の選択肢はあるのですか。

 A 困難な卵巣がん治療でも、条件が合えば、がん細胞を狙い撃ちする分子標的薬(リムパーザ)やがんの栄養血管を標的にする分子標的薬(アバスチン)があります。これまで3度の手術をしていますので、アバスチンは勧められません。腸管の微小穿孔(せんこう)のリスクが高くなるためです。

 Q これらの薬にはどのような条件がありますか。

 A 薬を使えるかどうか、がん抑制遺伝子「BRCA1・2」検査があります。検査の陽性率は5~10%。本来、遺伝子検査は陰性の方がいいのですが(次世代への遺伝性を心配しなくてもよいため)、陽性ですと、リムパーザが有効で、期待できます。

 Q 陰性の場合はどうなりますか。

 A 陰性でも、抗がん剤のプラチナ製剤を3サイクル実施した時点で、腫瘍マーカー「CA125」が減少している場合や、コンピューター断層撮影(CT)検査などで腹膜播種の改善が確認できれば、リムパーザに移行することが可能です。

 Q そのような条件があるのですね。

 A また、遺伝子情報から調べるマイクロサテライト不安定性(MSI)の検査は卵巣がんも対象です。卵巣がんの陽性率は数%で、証明されれば、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が保険適用で使えます。BRCA1・2検査と同様、MSIの検査は保険で受けられます。

 Q 「治療は早く始めても遅く始めてもゴールは一緒」と主治医に言われました。

 A そんなことはありません。遺伝子検査で新しい治療の可能性を見つけるのも大切ですし、もし現在の化学療法に効果がなければ、別の抗がん剤(ドキシル、ジェムザール、ハイカムチンのいずれか)を選択するのが良いでしょう。これまでの治療をむだにしないで次につながるような方法を選んでください。(構成 大家俊夫)

 回答には、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が当たりました。専門医やカウンセラーによる「がん電話相談」(協力・がん研究会、アフラック、産経新聞社)は月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時に受け付けます(03・5531・0110、無料)。個人情報を厳守します。相談内容が本欄やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。

 《ミニ解説》

 ■「がん性腹膜炎」など合併症減らす努力も

 抗がん剤や分子標的薬は当初は効果が見られても薬剤耐性になって、効かなくなることがある。瀧澤医師は「薬剤耐性は現状では避けられません。大切なのは次に効果の可能性が高い薬剤を選び、治療を継続していくことです」と指摘する。

 ただし、卵巣がんの場合、治療薬の変更を繰り返している間に、腹水がたまったり腸閉塞(へいそく)を引き起こしたりする「がん性腹膜炎」になるケースもある。瀧澤医師は「治療の途中で注意深くケアして、合併症などを減らす努力が必要です」と話している。

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