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【書評】岐阜女子大教授・助川幸逸郎が読む『AIに負けない子どもを育てる』新井紀子著

『AIに負けない子どもを育てる』新井紀子著
『AIに負けない子どもを育てる』新井紀子著

■昔ながらのやり方再評価

 『AIVS教科書が読めない子どもたち』で評判を呼んだ新井紀子の新著。今回は、人工知能(AI)関連の話題は中心に置かれない。新井が開発したRST(リーディングスキルテスト)の実例と解説、教科書を読める子供を育成する方法の提案に焦点を当てる。

 RSTは、短文の意味を正確に理解しているか否かを問う。義務教育を受けた人間なら、満点近いスコアをマークするはずなのに、実際には多くの受検者が驚くほどの低得点に終わる(私自身も情けない点数しか取れなかった)。そうなる理由のひとつとして新井は、キーワード穴埋め式学習の弊を挙げる。

 現在の学校では、重要語を空欄にしたテキスト、プリントが多用される。パワーポイントを使う場合も、「キーワードを印象づけること」が目的になりやすい。定期テストでも入試でも、「鍵語を暗記すれば対処できる問題」が主に出題される。

 結果、単語と単語の相互関係を見抜く力は育成されない。ある概念を抽象化したり、反対に具体例に落とし込んだりする力もなおざりになる。鍵語の拾い出しは、「効率的な情報処理術」としてしばしば推奨される。その弊を新井は鋭く突いた(私自身、鍵語に目をとられたためにRSTを何題か間違えた)。

 AIに人間が勝る点は、キーワード至上主義の学習が取りこぼす「意味を把握する力」にある。そう考える新井は、昔ながらの「板書をノートに写す」「授業内容を自力でまとめる」といったやり方の再評価を説く。近年、デジタル機器を使った教育法が注目されている。AIを研究する新井が、「AIに負けない子ども」を育てるうえで、そうした「新しい流れ」に盲従していない事実は興味深い。

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