PR

ライフ ライフ

【装丁入魂】和田誠『Book Covers in Wadaland 和田誠装丁集』(アルテスパブリッシング・4200円+税) 黒子に徹した職人の多彩な技

『Book Covers in Wadaland 和田誠装丁集』(アルテスパブリッシング)
『Book Covers in Wadaland 和田誠装丁集』(アルテスパブリッシング)

 今月7日に83歳で亡くなったイラストレーターの和田誠さん。エッセーや映画など多方面で才能を発揮したが、その仕事の中心の一つに書籍装丁があった。

 平成26年に刊行された本書は、和田さんがそれまでに手がけた700点余の装丁をフルカラーで収録した集大成的な内容。現在、注文が相次いでいるという。

 この本の装丁も、もちろん自身の手による。読書しながら眠ってしまったと思われる、ベッド上の男性。読みかけの書物についての夢を見ているのだろうか、その上を本を手にした3匹の羊が飛び越えてゆく。いかにも和田さんらしい温かくユーモラスなイラストを、やや控えめなサイズにして中央に据え、余白を多めに取っている。上品な味わいのある装丁だ。

 編集を担当したアルテスパブリッシング代表の鈴木茂さんによると、収録装丁はすべて、和田さんの事務所に整然と保管されていた書籍の現物か色校紙を撮影して制作したという。「和田さんはご自分の仕事を全部きれいにストックしておられて、何十年前の作品だろうが言うとすぐ出てくる。そんなデザイナーさんは他にいないのではないか」

 さまざまなジャンルで旺盛に活動しつつ、40年以上にわたって毎週「週刊文春」の表紙を描き続けるなど、ストイックな仕事ぶりで知られた和田さん。「昔はその仕事への厳しさから近づきがたい印象も受けましたが、この本を作った晩年はとても穏やかで、楽しく仕事をさせていただきました」(鈴木さん)

 和田装丁の特徴について、鈴木さんは「手法の多彩さ」を挙げる。「文字も絵も自分で描くし、立体も抽象的なパターンも使う。奥付を見て初めて和田さんと気づく装丁もかなりあって、幅広さには驚かされます」。和田さんは担当書のゲラをすべて読み、その本に最も合う手法を選んだ。自己表現優先ではなく、あくまで黒子に徹して書籍本位で考える装丁家だった。「あれだけのキャリアの方なのに、自身の名前が知られることに全く興味がなかった。職人的、と言ってもいい。今頃は天国でお仲間と映画談議に花を咲かせているかと思いますが、どうかゆっくりとお休みになってください」(磨井慎吾)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ