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【話の肖像画】第31回世界文化賞受賞 歌舞伎俳優・坂東玉三郎(11)人生を感受できる舞台に

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 〈「神は細部に宿る」という言葉がある。細かいディテールにこだわることで本質が決まるというふうな意味で、玉三郎さんの舞台はつねにこの言葉を実践するものだ。舞踊『鷺娘(さぎむすめ)』で玉三郎さんの手指の繊細な動きは瀕死(ひんし)の鷺の羽ばたきを表現する。『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』で、手に持った扇で釣り鐘を指すときの角度…。玉三郎さんの舞台には究極の美がある〉

 ただ私は、芸術に、きれいだとか、美しいだとか、そういう一辺倒なものを望んでいるわけではないのです。演劇の根本というのでしょうか、清と濁、美と醜、善と悪、という正反対のものが複雑に絡み合っている作品やお役にやりがいを感じます。「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」や「東海道四谷怪談」を書いた四世鶴屋南北、「天守物語」「海神別荘(かいじんべつそう)」の泉鏡花もそうですね。

 また、日本独特のはかなさというものにもひかれます。はかないというのは死ぬということだけでなく、淡いというか、なんというか、半透明な人間とでもいうのでしょうか。「鷺娘」の娘の姿をした鷺の精もそうでしょうし、「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」で、桜の幹から抜け出した傾城墨染(けいせいすみぞめ)もそうですね。非常に具体的な役ではありますけれども、実際は何だか分からない。でもそういう役や、そういう舞台芸術があるというのが日本独特なんじゃないでしょうか。

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