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完璧な文章、普通を特別に デンマーク語翻訳者が語る村上春樹

「海が近く、四季もある。それに人がよく働く。デンマークは結構日本と似ている」と話す翻訳家、メッテ・ホルムさん
「海が近く、四季もある。それに人がよく働く。デンマークは結構日本と似ている」と話す翻訳家、メッテ・ホルムさん
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 村上春樹さんの紡ぐ小説は50以上の言語に翻訳され世界中の人々の心をつかんでいる。全国公開が迫るデンマーク映画「ドリーミング村上春樹」(ニテーシュ・アンジャーン監督)は、約20年にわたり村上作品をデンマーク語に翻訳してきたメッテ・ホルムさん(61)の姿を追う風変わりなドキュメンタリーだ。日本滞在中のホルムさんに翻訳の妙味や村上文学の魅力を聞いた。

 ◆思索の旅追う記録映画

 映画に当の村上さんは出てこない。海辺の町に帰省してきた大学生の苦い青春を描くデビュー小説『風の歌を聴け』を翻訳するホルムさんの思索の旅を丹念にすくい上げる。物語の背景を知るために、東京や村上さんが思春期を過ごした兵庫の芦屋市を訪れ、タクシーの運転手やバーの客と会話する。かと思えば、村上作品の特徴であるパラレル・ワールド(並行世界)を示す2つの満月が映し出されたり、CGの「かえるくん」が頻繁に登場し小説の一節を読み上げたり…。現実と夢を行き来するような構成が、記録映画に幻想的な空気を添えている。

 「翻訳するときは、新しい世界に入っていく感じがある。訳しながら作品を好きになり、よく分かるようになるのです」と語る。〈完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。〉-。完璧とは「完全」の意味? 文章とは一つの文か、それともより大きなテキスト全体を指すのか? 『風の歌を聴け』の冒頭の文章に最適な訳語を求め、海外の翻訳者と意見を交わし頭を悩ませる場面が印象深い。

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