PR

ライフ ライフ

【正論11月号】わが家を襲った8050問題 介護保険制度の恩恵と盲点 産経新聞WEB編集チーム 飯塚友子

 ※この記事は、月刊「正論11月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 八月末、行きつけの歯科医で「右の奥歯が三本、砕けています。歯ぎしりが原因」という驚きの診断を受け、治療を行った。この二年間、公私ともに蓄積したストレスが、顕在化したようだ。

■兄対応で切歯扼腕

 平成二十九年夏、身体が固まってしまうパーキンソン病を患う母(八三)に、幻視などをともなうレビー小体型認知症の症状が現れ、在宅介護が始まった。それを発端に、実家に引きこもって定職に就かない次兄(五十代)と、向き合わざるを得なくなり、さらに長らく音信不通だった長兄(五十代)による金銭の要求まで始まり、家庭裁判所で調停も重なったのは、これまで記した通りだ。

 通常、「8050問題」とは、自立できない五十代の子供を、八十代の親が支える状態を指すが、わが家の場合、問題はもう一段階、先である。八十代の親が要介護になったため、自立できない子供(五十代)の対応まで、そのきょうだいに降りかかる-という同時多発問題だ。「8050」を放置すると、問題は親からきょうだいに引き継がれる。

 この三重苦をシステムエンジニアの姉(五十代)と協力し合い、多くの人の助けも借りて、何とか綱渡りでしのいできた。色々な人に助けて頂き、またこうして書く事で気持ちの整理を付けていたつもりだったが、就寝中も切歯扼腕の緊張は続いていたようだ。ストレスは過食も引き起こし、私は最近、保健指導の対象になった。

 今も東京家裁立川支部で、長兄から申し立てられた二度目の調停が続いている。九月に続き、十月も平日真っ昼間に期日が入った。それを通知する姉と私宛の裁判所の封筒を見ただけで、いい気持ちはしない。筋違いとしか思えない金銭の要求に、友人の弁護士と、七月に選任された母の成年後見人の弁護士が対応してくれ、長兄と直接やり取りをしなくて済むので、とても助かっている。

 しかし調停は、たとえ不成立(双方が合意に達しないこと)に終わっても、何度も申し立てられるので、今後も長兄からの申し立てが続くと、覚悟しなければならない。

 一方、六月に私と姉が実家を出たため、一人暮らしになった次兄は、どうやら今も仕事は続いているようだ。これまで母が負担していた光熱費や水道代などは、次兄が受益者として負担すべきものだが、それを姉や私が言っても抵抗した。しかし母の成年後見人が、電話で「名義変更の手続きをしてください」と言うと、素直に「明日する」と答えたそうだ。もはや二人の兄とのやり取りは、弁護士を通じた方が話が早い。

■介護保険に、申請主義の壁

 昨年五月、母が老人病院に入院するまで、とことん介護保険の恩恵にあずかった。パーキンソン病が進行し、これに平成二十九年以降、レビー小体型認知症も発症し、車いすが欠かせない要介護四(最重度は五)の母は、一割負担で訪問リハビリや通所施設など、多様なサービスが受けられ、どれほど助けられたか分からない。一方で、当事者になってみえてきた問題点もある。主に二点、記したい。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ