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悩み、苦しんだ経験 歌集で赤裸々に 知花くららさん

「自分の中での自然な流れで、その時々を詠み続けたい」と話す知花くららさん(寺河内美奈撮影)
「自分の中での自然な流れで、その時々を詠み続けたい」と話す知花くららさん(寺河内美奈撮影)

 <知つてるでしよきつく手首を縛つても心まで奪へぬことくらゐ>

 巻頭からドキっとさせられる。表紙には濃い色のルージュに、意味ありげな視線。知的で健康美あふれる、あの「知花くらら」はどこへ…。今回、6年続けてきた短歌が、初めて一冊の歌集にまとまった。本書には、今の夫と出会う前の恋から、故郷・沖縄への思い、国際貢献活動、さらには流産や妊娠についての歌も収録された。こんなに赤裸々な内容で大丈夫なのかと心配になるが、知花さんは、ケロッとしている。

 「今までの経験や思いが詰まっています。夫はもちろんこの歌集のことは知っていますが、怖くて見てない、と…」

 ミス・ユニバース2006世界大会で準グランプリを獲得、彗星(すいせい)の如く芸能界にデビューした知花さんはモデル、女優、国際貢献と活躍の幅を広げてきた。誰もが羨(うらや)む順風満帆な人生。しかし、人には言えない悩みや苦しみも数多く経験してきた。歌集ではテレビや雑誌で見せていた姿とは異なる裏面をさらけ出したともいえる。

■  ■  ■

 20代は、とにかく目の前の状況についていくのに必死だった。人に求められるものにあわせてばかりの日々。無理がたたり、摂食障害にも陥った。

 「私にとって、美しくあることはプライオリティー(優先順位の高いこと)ではなかった」

 ようやく自分に向き合えるようになってきたのは30代に入ってから。そんな時に出会ったのが短歌だった。河野裕子(かわのゆうこ)・永田和宏夫妻の『たとへば君 四十年の恋歌』を読んだときの衝撃は忘れられない。

 「涙が止まりませんでした。今の言葉で、こんなにも想像をかきたてる世界観をつづれることに驚いて。それで自分でもやってみたくなったんです」

 もともと言葉に関する仕事が好きだったこともあり、表現する方法を探していたのかもしれない。

 「31文字という限られた世界で、言葉を探すのが楽しかったですね。エッセーなども書いたことはありましたが、全然違う感覚で言葉と向き合えました」

 平成29年には「ナイルパーチの鱗(うろこ)」で、歌壇の登竜門とされる角川短歌賞の佳作を受賞。同作では、国連WFP日本大使としての経験などを詠んだ。

 <こめかみに刺さる視線 錆びたねぢをばらまいたやうな難民キャンプで>

 国際貢献活動の歌を作るのは難しいと語る。

 「つい、あれこれ伝えたくなってしまう。でもそれだと単なる報告文になるんです。一人の人間として何が見えているのかを大切に歌を詠みました」

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 もともと、やりたいことはとりあえずやってみるタイプ。最近は建築の勉強も始めた。

 「後悔することもあるけど、そんな時は後ずさりして、扉を閉めてしまってもいい。途上国に行くと、女性のバイタリティーのすごさを目の当たりにする。日本の女性はもっと自由でいいんじゃないかと思います」

 今、興味があるテーマは、妊娠で日々変わる自分の体と、おなかにいるわが子のこと。

 「自分が誰かのために生き、何を思い、どんな歌を作るのか。純粋に楽しみにしています。短歌は、その時の自分をフリーズドライできるのが魅力。たくさんの人に(短歌を)詠んでいただけたら嬉しいですね」

 巻末は新たな命の歌で飾る。

 <判定窓に二本の線があらはれて命ふたたび萌ゆるのを知る>

(文化部 加藤聖子)

     

ちばな・くらら

昭和57年、沖縄県生まれ。

上智大学文学部卒業後、ミス・ユニバース2006世界大会で準グランプリを獲得。現在はモデルや女優として活躍するほか、国連WFP(世界食糧計画)日本大使としての活動も続けている。平成29年、『ナイルパーチの鱗』で第63回角川短歌賞佳作を受賞。著書に『くららと言葉』、『あなたと短歌』(永田和宏氏との共著)など。

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