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【話の肖像画】第31回世界文化賞受賞 歌舞伎俳優・坂東玉三郎(69)(5)浮世絵から学ぶ日本の美

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 〈世界の舞台芸術のなかでも、貴重な存在になった女形という職掌。男性が女性の化粧をして女性の衣裳(いしょう)を着て、女性を演じる。しかも美しい所作で、その人物の心情を表現せねばならない。それには大変厳しい修業が必要だ〉

 やはり子供の頃からの修業が大切ですね。いまはそういう時代ではないかもしれませんが、女形の修業は一生かかっても取り組まねばならないものだと思っています。普段の生活の中から培われるものでもあるのです。女形は華やかなものですが、私は見た目より、その役を通した向こう側の世界を感じていただきたいと思っています。

 〈江戸時代に活躍した女形の名人、芳澤あやめは『日常から女として暮らさねば上手な女形とは言われ難い』という言葉を残した。明治から大正にかけての三代目尾上菊次郎は『天衣紛(くもにまごう)上野初花(うえののはつはな)』の三千歳(みちとせ)を演じる際、厳冬にもかかわらず水に手を浸して舞台に上がった。冷たい手を取った相手役の六代目尾上菊五郎に、いとおしいと思ってもらえるようにという気持ちからだったという〉

 私の若い頃は、今よりもそういう昔の女形さんの逸話や口伝、伝説などを大事にしていたように思います。立役(たちやく)さんの前で、むしゃむしゃご飯を食べないとか、洗面所を並んで使わないとか。それから行儀の悪い姿、足を出したり、裸になったりすることを立役さんの前でしないとか。昔は厳しかったですね。立役さんの前だけでなく、一般の方の前でもそういう姿を見せないように、という修業でしたから。私もそういうことを親から教えてもらって、習慣として生きてきました。踏襲、というより、そういうふうになってしまいましたね。

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