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【ビブリオエッセー】つながった「好き」と「好き」 「明るい夜に出かけて」佐藤多佳子(新潮文庫)

 主人公は休学中の大学生、富山。ある日、同じ深夜ラジオを聴く女子高生と出会う。その番組はお笑いコンビ、アルコ&ピース(愛称・アルピー)の実在した番組「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」だ。この番組を中心に若者たちのつながりが温かく描かれている。私はこの小説と妙な出会い方をした。「好き」に呼ばれたのだ。

 小学生のころから夜が好きだった。塾に缶詰めになったり学校で嫌なことがあったりとイライラが募る日々。心の居場所が夜だった。週末の深夜、こっそりテレビのお笑い番組を見ていた。その時間だけ、笑いとともに一週間の重荷を吐き出せた。

 高校生になって今までで一番嫌なことが起きた。心はボロボロ、笑うことなどなくなった。そんなとき、夜中にテレビをつけるとアルピーのゲーム番組が放送されていた。気がつくと声を上げて笑う自分がいた。また夜に救われ、アルピーが大好きになった。

 その後、アルピーはラジオ番組のスターであると知る。それでラジオを聴き始め、そのまた後にこの本を見つけた。出てくるのは夜とアルピーとラジオ。読むしかない。

 読後は「好き」が膨れ上がり心を満タンに。登場人物に感化され、ラジオに投稿してみたくなった。頭の中にしかなかったことを文章にすることで多くの人のもとへ届く。メールが読まれた時、それが素敵に思えた。今度は書いて伝えることが好きになった。そして今、このエッセーを書いている。

 好きが好きを呼び、好きがより好きになる。この幸せの連鎖をもっともっとつなげていきたい。

 大阪府泉南市 丸山瑞生 19

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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