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どうする日本のエネルギー 学生が白熱議論「環境エネルギー塾」

川辺ダム
川辺ダム
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 今回取材をしたのは、中部電力が主催した「環境エネルギー塾」。名古屋市が市民・教育機関・企業などと協働運営する「なごや環境大学」の共育講座の1つとして開講しており、今年で15回目を迎える。

 碧南(へきなん)火力発電所(JERA)、浜岡原子力発電所、御前崎(おまえざき)風力発電所などの現場見学、座学やワークショップなど、盛りだくさんの3日間のプログラムだ。筆者は参加者の大学生、大学院生、高専生ら約40名とともに、最終日のプログラムに同行した。

 訪れたのは、岐阜県にある川辺ダム。川辺ダムと川辺水力発電所の他、岐阜県内47発電所の運転状況を24時間監視、制御している制御室と発電所を見学した。

川辺水力発電所
川辺水力発電所
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 制御室では、岐阜県内にあるダム(高さ15m以上)17基、えん堤(高さ15m未満)61基のうち19基の遠隔制御も行っている。参加者からは、ダムの水量のコントロールがどのように行われているかなどについて活発な質問が出た。天気予報と過去のデータから、事前に流量を予測し、適宜貯水と放流により、ダムの水量をきめ細かく調節しているとの説明を受け、みな真剣にメモを取っていた。

 また、ダムのゴミ集積所も見学した。取水口には流木だけではなく、プラスチックや家電など、ありとあらゆるものが流れ着く。そしてそれらは人が分別している。参加者からは「流れ着いたゴミを分別し廃棄することはとても重労働で大変な作業だ。ダムを安全に稼働させるためには、このような工程も必要だということを初めて知った。」と驚いていた。

取水口に流れ着いたゴミの一部
取水口に流れ着いたゴミの一部
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川辺ダムの貯水池
川辺ダムの貯水池
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 午後は名古屋市内に戻り、「環境とエネルギー問題」の座学を行ったのち、「今後のエネルギーはどうあるべきだと思うか」をテーマに、7つの班に分かれてディスカッションが行われた。白熱した議論が交わされた結果どのような結論に至ったのか。それぞれの発表を見ていこう。

ディスカッションの様子
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1班

 浜岡原子力発電所を見て、安全対策をしっかりしていることがわかったので、再稼働させるべきだと思う。電力事業者には、エネルギーの情報発信のリーダーになってもらいたい。また、環境保全活動のさらなる促進を期待したい。

1班発表の様子
1班発表の様子
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2班

 現時点では原子力発電所を再稼働し発電量を増加させ、火力発電は徐々に減らしていくべき。しかし、将来的には原子力発電をゼロに近づけ、再エネを増やしていく方向性が良いと思う。

 会場からは原子力発電の廃止措置や放射性廃棄物の処理・処分にはお金がかかる。また、再エネだけでは安定供給できないのでは?と鋭い質問もとんだ。

2班発表の様子
2班発表の様子
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3班

 火力発電を減らし、その分を再生エネルギーで補うことが理想。 世界情勢に左右されないために、エネルギー自給率を向上すべきだ。洋上風力発電に力を入れていくのが良いのではないか。

3班発表の様子
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4班

 電源構成比率を再エネ60%、原子力発電を20%にすべきだ。小学生など小さいうちからエネルギーについて学ぶ機会が増えれば、社会がより良くなると思う。

4班発表の様子
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5班

 エネルギーを地産地消にする。電源構成比率の原子力発電を20~25%に増加させ、火力発電を低下させるべき。中東への化石燃料への依存度を下げることが理想的なエネルギー構成だと思う。電力事業者には原子力発電所を再稼働させて欲しい。

5班発表の様子
5班発表の様子
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6班

 再エネを増やしていくことが基本方針。浜岡原子力発電所の防波壁などを見学し、安全対策を実感した。原子力発電には反対の意見だったが、実際に見て、原子力発電をフラットな目線で見ることができるようになった。

6班ディスカッションの様子
6班ディスカッションの様子
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7班

 電力事業者には、原子力発電所の安全対策を多くの人が理解できるように正しい知識を広めて欲しい。

7班発表の様子
7班発表の様子
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 理系と文系が入り交じり、異なる意見をまとめるのに苦労していたが、全ての班が再エネを増やして、原子力発電所を再稼働すべきとの意見だったのは意外だった。

「環境エネルギー塾」を担当する中部電力環境・地域共生室の宮木歩美さんに、この講座の狙いを聞いた。

「学生たちは先入観なく見たままの意見をぶつけてくれる。本当の電力の現場を見せることで、きちんと受け止めてくれているな、という手ごたえを感じている。我々自身も学生から刺激やエネルギーをもらっている。」と述べた。参加者がエネルギーについて主体的に考える講座にしたいという宮木さんの情熱を感じた。

中部電力環境・地域共生室の宮木歩美さん
中部電力環境・地域共生室の宮木歩美さん
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参加者の声

 全てのプログラムを終えて参加者に感想を聞いた。

「私は理系だが、原子力発電は止めた方が良いと思う本音は変わらなかった。しかし、浜岡原子力発電所で働く方の生の声を聞き、安全性への高い使命感、責任感を感じることができた。また、火力発電所で見せてもらった物凄い量の石炭が3日で消えてしまうと聞いて衝撃を受けた。資源はいずれ枯渇するということを、一人一人がもっと危機感を持って考える必要があると感じた。」

名古屋大学大学院 環境学研究科 柘植ブライアンさん
名古屋大学大学院 環境学研究科 柘植ブライアンさん
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「今まで『原子力発電は怖い』というテレビからの知識しかなかった。浜岡原子力発電所を実際に見て、これは安全だということを自分の目で確認した。周りにも、原子力発電所ってこんなに安全対策をしているんだよ、という正しい情報を伝え、このような機会への参加を積極的に勧めたい。」

成城大学 社会イノベーション学部 瑤寺姫乃さん
成城大学 社会イノベーション学部 瑤寺姫乃さん
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「グループディスカッションを通し、エネルギー問題の当事者として考えることができた。この思考は国民一人一人が持つべきだと思った。自国のエネルギー事情に関心を持つ人が増えるように、学んだことを周りに発信していきたい。」

名古屋大学工学研究科 原田賢太郎さん
名古屋大学工学研究科 原田賢太郎さん
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取材を終えて

 浜岡原子力発電所を見学したことで、安全に対する見方が大きく変わった、と述べた人が多かったのが印象的だった。

 そして、今回、原子力発電事業に伴い発生する「高レベル放射性廃棄物の地層処分」の実施主体である、NUMO(原子力発電環境整備機構)の話を聞く機会があったのだが、理系の学生でも初めて聞いたという学生がほとんどで、興味を持った人も多かった。やはり、実際に現場を見たり、話を聞くことが重要だとの思いを強くした。

 全ての班が再エネを増やして、原子力発電所を再稼働すべきと発表したことには、現実的な選択を模索する姿勢を感じた。また、学生らからは、電力事業者にもっと積極的な情報発信をしてもらいたい、という率直な意見が多数あった。電力事業者らの役割も大きいが、メディアも積極的に報じる必要があるだろう。(エネルギーフロントライン編集長・安倍宏行)

提供:中部電力株式会社

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