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「不確実性のかけら」発信 世界文化賞絵画部門受賞ウィリアム・ケントリッジ

動画『流浪のフェリックス』より 1994年 Film still from Felix in Exile, 1994 35mm film transferred to video, 8 min 43 sec Courtesy of William Kentridge Studio
動画『流浪のフェリックス』より 1994年 Film still from Felix in Exile, 1994 35mm film transferred to video, 8 min 43 sec Courtesy of William Kentridge Studio
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 世界的に優れた芸術家に贈られる第31回高松宮殿下記念世界文化賞。絵画部門で受賞したウィリアム・ケントリッジ(64)は、「動くドローイング」と呼ばれる独自のアニメーションで世界的に注目され、近年はオペラの演出や脱領域的な総合芸術で高い評価を得ている。アパルトヘイト(人種隔離政策)の暗黒時代をもつ母国・南アフリカ共和国を拠点に、植民地主義や独裁が切り捨てた「不確実性」を探求する作品群を創りあげてきた。(川西健士郎)

 南アフリカ最大の都市・ヨハネスブルクで生まれ、反アパルトヘイトの活動家を擁護する弁護士の両親のもとで育つ。祖父母も弁護士で、“家業”とまったく異なる芸術家になったが、「法律に基づいた主張とは別の形で世界を理解し、世の中と道徳的な関係性を築くことができる」と語る。

 世界的な名声を得たシリーズ「プロジェクションのための9つのドローイング」の中で自身も代表作に挙げる「流浪のフェリックス」は、初めて民主的な選挙が行われた1994年の作品。陰鬱とした風景が木炭で描かれ、死体が風景に溶けるように消えていくシーンがある。「亡くなった人の記憶や犠牲にしたものは消え去るのだろう、というのが僕の考えでした」

 その風景には時折、記憶の働きを想起させるラインの赤や、異空間をつなぐ役割をもった水の青が描かれる。歴史の痛みを感じさせる一方、記憶や意識の構造を深く考察させる力をもっている。

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