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「全ての作品に優しさ」田辺聖子さん東京でお別れの会

作家の田辺聖子さんのお別れの会で、祭壇に献花する参加者
作家の田辺聖子さんのお別れの会で、祭壇に献花する参加者

 今年6月に91歳で亡くなった作家の田辺聖子さんのお別れの会が25日、東京都内で開かれた。親交のあった作家や出版関係者ら約200人が、多くの読者に愛された「おせいさん」をしのんだ。

 田辺さんは芥川賞を受けた「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」をはじめ等身大の男女の恋愛と、その感情の機微を軽やかに紡ぎ続けた。「源氏物語」など古典の現代語訳にも取り組み、ユーモアに満ちたエッセーの名手でもあった。

 田辺さん宅の庭をイメージし、黄色やピンクなど色とりどりの花に彩られた祭壇には、愛らしいスヌーピーのぬいぐるみと一緒に満面の笑みを見せる遺影が飾られた。

 発起人の一人である作家の江國香織さん(55)は「お会いするときは明るい洋服を着て、いつも小さく優しい声で話されていた。どこかにいらっしゃるのが普通だと思っていたので心細い」。田辺さんの母校、大阪樟蔭女子大学の田辺聖子文学館の評議員として親交があった作家の小川洋子さんは「『一生懸命生きている人間はかわいいんだ』。そういう人間を根本的にいつくしむ心から生まれる優しさがすべての作品に流れていた」とその人柄と作品をたたえた。

 田辺さんが選考委員を務めたサントリーミステリー大賞でデビューした作家の黒川博行さん(70)は「真っ正直で率直な方。言っていることに裏がない。(選考で作品を)推してもらえなくても『いい人やな』と思えた」と悼んだ。

 「田辺先生は一流の文学者であると同時に、一流の生活者でいらっしゃった。ご主人を愛し、食べること飲むことが大好きで、本当に楽しく優雅に暮らしていた」と切り出したのは、田辺さんとともに直木賞選考委員を務めてきた作家の林真理子さん(65)。ありし日の懐かしい思い出に触れながら「(今日は)みんなが田辺先生のDNAをいただいて、これから頑張って書いていこう、という決意を新たにした日になる」と結んだ。

 会場には田辺さんの著作や自筆原稿、思い出のスナップ写真も飾られ、訪れた人々が足を止め、熱心に見入っていた。

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