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【門井慶喜の史々周国】三代目、短さに千金の値打ち 萬代橋(新潟市中央区)

信濃川に架かる萬代橋。現在の橋は三代目で、平成16年に国の重要文化財に指定された =新潟市中央区(筆者撮影)
信濃川に架かる萬代橋。現在の橋は三代目で、平成16年に国の重要文化財に指定された =新潟市中央区(筆者撮影)

 萬代橋(ばんだいばし)は、有名になる条件がそろっている。

 何しろ立地においては日本一長い信濃川の河口にかかり、由緒においては昭和四年(一九二九)に完成した築九十年の近代建築である。形状においては鉄筋コンクリート造ながら花崗(かこう)岩等で化粧され、六連アーチが気品に富む。

 国の重要文化財にも指定されているのだが、実際はどうか。地元はともかく全国的には無名に近いのではないか。かく言う私もほとんど知るところがなく、

 --なんで知らないんだろう。

 それを知るために家を出た。われながら酔狂な動機ではある。

 大阪からは、飛行機で一時間。新潟空港からリムジンバスで新潟駅へ行き、駅から大通り(東大通(ひがしおおどおり))をてくてく十分ほども歩けば橋の東詰に着いてしまう。あっさりしたものだ。私は川の横の遊歩道へ下り、やや離れたところから橋をそっくり視野におさめて、

 --ああ。

 無名の理由がわかった気がした。橋の上は、車やタクシーやバスがひっきりなしに行き交っている。

 片側二車線、アスファルト敷き、ただの国道七号線。だが、それ以上に、「短いなあ」

 私は、思わず口に出した。向こう側まで三〇六・九メートル。車やタクシーやバスはみな二十秒くらいで渡ってしまう。日本一、信濃川、河口という語から得られる雄大なイメージはあっけなく裏切られた。橋が短いということは、むろん川幅そのものが狭いのである。

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