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【書評】『遠い他国でひょんと死ぬるや』宮内悠介著 前代未聞の冒険小説

『遠い他国でひょんと死ぬるや』
『遠い他国でひょんと死ぬるや』

 印象的な題名は、23歳にしてルソン島で戦没したとされる詩人・竹内浩三が入営前に書いた詩「骨のうたう」が出典。その冒頭の、「戦死やあわれ/兵隊の死ぬるや あわれ/遠い他国で ひょんと死ぬるや/だまって だれもいないところで/ひょんと死ぬるや」から採られている。漫画と映画と音楽が大好きで、軍事教練が大の苦手だったのに徴兵された浩三は、戦地でノートに日記を書き続けたという。

 小説の主人公は、現代の東京の小さな映像制作会社でディレクターをつとめる“わたし”こと須藤。浩三が見た戦争が描かれているはずの第三のノートを探すドキュメンタリー番組を企画してフィリピンに赴くが、予算も日程も限られた取材では思うに任せない。4年後、意を決して退社した須藤は、すべてを捨ててふたたびフィリピンに渡り、浩三の足跡を追う。

 --と紹介すると硬派なサスペンスのようだが、その須藤の前にフリルのドレスを着たお嬢さま(自称トレジャーハンター)がとつぜん現れ、「タケウチを追ってるんだって? 知ってることを教えなさい」と強要。本書はそこから、超ハイテンポななんでもありの冒険ロマンに転調し、予想もつかない方向へ疾走しはじめる。

 なにしろ、映画「天空の城ラピュタ」の飛行石かと思うような蛍石を持つ娘(かつて須藤が取材した山岳民族イフガオの元村長の孫娘)まで登場し、成り行きで一緒に旅することになったりするので、中盤からクライマックスにかけては、これって大人版ジブリアニメ? と思うようなノリ。

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