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【高見国生の認知症と歩む】(23)介護が終わった後の虚脱感

 8月23日付のこの欄で、友人のことをお話ししました。10年間、義父の介護をして夫婦ともども疲れ果て、心の中で「早く終わってほしい」と願っていたが、なかなか終わらなかったという話でした。

 今年の春についに終わったので、その後は清々した気持ちで生活をしているかと思ったら、そうではありませんでした。

 友人いわく。

 「介護しなくなって楽になったけど、生活にメリハリがなく気持ちが上向かない」

 私は、やっぱりそうかと思いました。このように思う人は意外に多いのです。最近はグリーフケアといって、看取(みと)ったあとの気持ちの落ち込みを支援するケアもあるくらいですから。

 なぜ介護が終わったのに気持ちが落ち込むのでしょう。介護は相手の命・生活を支えるのですから、大きなエネルギーを要します。そのためにはすべての面で頑張らないといけません。その頑張りが、無意識に生活の張りになり、介護する勇気、生きる力になっているのです。介護が終わるとその頑張りが不要になり、生活の張りも消えてしまうのです。

 友人は「今まで私たち夫婦が一方的に義父を支えていたと思っていたが、義父の存在が私たち夫婦に生活の張りと頑張る力を与えてくれていたのだと気がついた」と言いました。まさに、支えることは支えられること、なのです。虚脱感とともに、「あの時ああしてあげればよかった」という後悔の念に駆られる人もいます。

 介護を終わった人は、自分ができる範囲で精いっぱいやったのですから、虚脱感にも後悔にもとらわれることはありません。介護を成し遂げたことに自信を持って、これからは自分自身の人生を楽しく豊かに生きるように気持ちを向けましょう。

 「認知症の人と家族の会」電話相談 平日午前10時~午後3時、0120・294・456

【プロフィル】高見国生

 たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1千人。

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