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【世界文化賞】絵画部門 ウィリアム・ケントリッジ 動くドローイングで知的探求

【第31回高松宮殿下記念世界文化賞】絵画部門 アトリエでポーズをとるウィリアム・ケントリッジ氏(南アフリカ)=5月13日、南アフリカ・ヨハネスブルグ(宮崎瑞穂撮影)
【第31回高松宮殿下記念世界文化賞】絵画部門 アトリエでポーズをとるウィリアム・ケントリッジ氏(南アフリカ)=5月13日、南アフリカ・ヨハネスブルグ(宮崎瑞穂撮影)

 木炭による素描をコマ撮りした「動くドローイング」と呼ばれる独自のアニメーションに、南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離政策)の歴史や社会状況を反映させ、1990年代から世界的な注目を集めてきた。

 リトアニアから移住したユダヤ系南アフリカ人の家系で、祖父母も両親も弁護士。アパルトヘイトに反対する活動家を擁護する両親のもとで育った。

 パリで演劇を学び一時は俳優を志す。南アフリカに戻り、30代後半にたどりついた「動くドローイング」は、木炭画を部分的に消しては描き加えていくという変化を一コマごとに撮影してつなげた動画。現代のアニメーションとは対照的で素朴だが、時間の重厚さや寓意(ぐうい)に満ちた表現性を獲得している。

 世界的な名声を得たシリーズ「プロジェクションのための9つのドローイング」の中で自身も代表作に挙げる「流浪のフェリックス」は、初めて民主的な選挙が行われた1994年の作品。死体が風景から消えていく場面が印象的だ。

 「選挙後には祝杯を挙げることは分かっていたものの、その前に亡くなった人の記憶や犠牲にしたものは消え去るのだろう。同じように景色も、過去に起きたことを覆っていくわけで、景色と記憶はとても似ていると思った」と語る。

 近年は、サウンド、ダンス、フィルムなどが重層的に融合する総合芸術に意欲的。「ザ・ヘッド・アンド・ザ・ロード」(2018年)は、第一次世界大戦で荷物担ぎとして動員されたアフリカ兵の戦争参加を題材に、欧州の現代思想とアフリカの歌の伝統の交錯を描き、高く評価された。

 植民地主義や独裁に排除された「不確実性にあふれた世界」を表現しようとする知的探求が、全く新しい作品群を創りあげた。

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