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【世界文化賞】彫刻部門 モナ・ハトゥム 日本文化に影響受けた審美眼

【第31回高松宮殿下記念世界文化賞】彫刻部門 アトリエでポーズをとるモナ・ハトゥム氏(イギリス)=6月3日、ロンドン(宮崎瑞穂撮影)
【第31回高松宮殿下記念世界文化賞】彫刻部門 アトリエでポーズをとるモナ・ハトゥム氏(イギリス)=6月3日、ロンドン(宮崎瑞穂撮影)

 多様なアイデンティティーを持つ芸術家だ。パレスチナ人の両親のもと、レバノンの首都ベイルートで生まれた。一時期はベルリンで創作活動を行い、現在はロンドンを拠点とする。

 「私のルーツは中東。そのことで私は少し違った価値観を持っています。極めて多岐にわたる異質な文化を経験しているのです」

 主に扱うのは、空間全体を作品として体験させるインスタレーション。時には自分の体を“素材”にするなど、使う材料は幅広い。普通の家具やありふれた家庭用品でさえ、ひとたび作品になると印象は一変。恐怖や不安感を覚える一方、ユーモアも感じるなど、複雑な感情が芽生える。

 「私は『気味の悪いもの』に興味を抱いています。完全にノーマルであった状況が、些細(ささい)なことが原因で急に不思議なものに変わることがあります。トラウマに満ちた連想を呼び、心配・不安・恐怖の感情が生まれるのです」

 1975年、英国旅行中にレバノンで内戦が勃発。家族と離ればなれのまま帰国できなくなり、自らの意志に反し「亡命者」となった。ロンドンの美術学校に入学し、制作を開始。作品は世界の現代美術展で取り上げられ、最も注目される芸術家の一人となった。2016年には英テート・モダンで回顧展が開かれた。

 17年、ヒロシマ賞を受賞。被爆地である広島への訪問に触発された作品「その日の名残」は、金網で覆った木製の家具を燃やし、黒焦げの残骸にしたもの。紛争や災害などにより、日常がある日突然奪われる-という悲劇が誰の身にも起こり得ることを、完成度の高いアートの形で示した。

 「洗練の極致、細部へのこだわり、ミニマリスト的な審美眼…。私の作品は日本文化から多くの影響を受けています」

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