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【がん電話相談から】胃がんから腹膜播腫 治癒目指したい

 ■化学療法続け上手に共存を

 Q 50代の夫の相談です。1月ごろ、ひどい腹痛が出て、排尿回数も1日に10回以上となりました。前立腺の病気ではないかとの診断。胃の内視鏡検査も行った結果、胃がんと診断されました。しかも、がんは胃壁を突き破り腹膜播腫(ふくまくはしゅ)の状態になっていました。化学療法(SOX療法=S-1+オキサリプラチン)を始めました。しかし、手足のしびれなど体の負担が大きくなってきました。腹膜播種の治癒を目指したいのですが。

 A 腹膜はおなかの内臓の表面を覆っている膜で、腹膜播種はがんの転移の一つの形態です。内臓の表面にがんが種をまいたかのように付着して広がっている状態(播種)です。食事は取れていますか。

 Q 化学療法にあまり影響されず、よく食べています。

 A それを聞いて安心しました。

 Q 夫は以前、体を鍛えるために何キロも走っていたのですが、いまは10メートル歩いてもつらそうです。がんを治してあげたいのですが、腹膜播腫を消すことは望めないのですか。

 A 抗がん剤治療で腹膜播腫が消えることはゼロではありませんが、それはとてもまれです。

 Q 原発の胃がんの手術はどうですか。

 A この状態で胃がんを切除しても腹膜播腫を細胞レベルまで残らず摘出することは不可能とみられます。胃の全摘をすれば食事が取れなくなり、化学療法の副作用もより強く感じる結果になります。手術の利益が少なく、マイナス面が大きい場合は、胃がんの手術は勧められません。

 Q 腹腔ポートの化学療法に興味があります。

 A 腹腔ポートはカテーテルを挿入し腹膜に直接抗がん剤が届くようにする装置で、この治療法は腹膜転移に対し、より高い効果があるのではないかと期待されてきました。腹腔ポート使用の効果を検証するために、標準療法である全身への化学療法との比較試験が最近行われました。しかし、標準療法を上回る成績は得られず、受けるべき治療という評価には至りませんでした。

 Q 腹腔ポートについて別の病院に相談に行こうと思っていましたが。

 A 現状は上述の評価ですが、工夫を加えて検討されており、一部医療機関で試験的な扱いで実施されているようです。保険外診療で患者さんの経済的負担も生じる可能性もあり、よく話を聞いて納得の上で受けることをお勧めします。

 Q では夫の治療はどうすればいいのですか。

 A 現在の化学療法を続けて、がんと上手に共存するという考えが大切です。副作用は完全になくすことはできませんが、主治医と相談しながら現在の治療を継続することが最良と思います。(構成 大家俊夫)

 ≪ミニ解説≫

 ■地域格差是正 地元で治療も

 今回の相談者は治療法だけでなく、医療機関の選択について「東京に転院した方がより良い治療が受けられるのですか」という悩みも抱えていた。

 陳医師は「がん対策基本法に基づき、全国どこでも標準的な専門医療を受けられるようにするがん医療の『均てん化』が進められてきました」と治療の地域格差は以前よりも是正されていることを指摘。

 その上で、「がんの治療方針は各専門学会からガイドラインが示され、胃がんのように頻度の多いがんでは地元の医療機関でも専門病院と同等の治療が受けられるようになってきています。化学療法は通院治療が主体であり、近隣の医療機関で治療を受けることは、体調不良時の臨時受診の容易さなどのメリットもあります」と助言している。

 回答には、がん研有明病院消化器化学療法科副部長の陳勁松医師が当たりました。

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