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【歴史の転換点から】江戸無血開城の「点と線」(6)西郷と勝 家近良樹教授に聞く(上)西郷の離れわざ

日本史の白眉・幕末維新史の愉(たの)しみ

 ただ確かに、旧幕府軍は士気に問題を抱えていました。これは新政府軍側に錦旗が翻っていたということが最大の要因ではないかと考えています。尊王の絶対性と申しますか、天皇の存在は、現代のわれわれが想像する以上に絶大であり、『天皇の軍隊に刃向かうことだけは忌避しなければならない』という当時の切迫した感覚を改めて考えてみる必要があると思います。

 それから、歴史に携わる者として身にしみて感じるのは、古いものを残してゆく方が、古いものを壊して新しいものをつくるよりもはるかに難しいということです。時の流れや勢い、時代に即応した大義名分にはどうやっても勝てないところがあるのです。

 とはいうものの、幕末史には『新しいもの』と『古いもの』との間に非常な緊張感があります。さまざまな可能性が考えられ、一方的な勝者や一方的な敗者ではなく、どちらが勝者になるか敗者になるか分からないという時代です。だから『歴史の転換点』としては幕末史が日本史の中では最も面白いと思いますね」

 いえちか・よしき 昭和25年、大分県出身。同志社大学大学院博士課程単位取得退学。中央大博士。著書に『西郷隆盛』(ミネルヴァ書房)や『人物叢書 徳川慶喜』(吉川弘文館)『その後の慶喜』(ちくま文庫)『孝明天皇と「一会桑」』(講談社学術文庫)『西郷隆盛 維新150年目の真実』(NHK出版新書)など。

●は口へんに牛

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