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【書評】論客による刺激的人物論 『昭和史講義 戦前文化人篇』筒井清忠編

『昭和史講義 戦前文化人篇』筒井清忠編
『昭和史講義 戦前文化人篇』筒井清忠編

 今年読んだ本の中で一番刺激を受けた一巻だ。本書の刊行によって、思想・文学・美術・建築・音楽などを統括する昭和前期文化人の研究は随分と風通しの良いものになったと確信する。

 編者まえがきにいわく、対象を1人ずつ細やかに見つめ、その立場を理解するという方法を『瞼(まぶた)の母』などの股旅作家、長谷川伸にあてはめると、彼は慰問用の豆本を自費出版し、戦地に送った。それが戦争協力であるとするならば、彼の行動は完全に他を圧していた。これを明確に言い切ることで、かえって戦中・戦後の埋もれた人々の功績を書き残す〈紙碑(しひ)〉や、代表作『日本捕虜志』への道のりはより明確になったといっていい。

 そして、冒頭に記した、私が刺激を受けた理由は、これまで大学や教育によって守られなかった、大衆の嗜好(しこう)に寄り添いつつテーマを深化させていった文化人を、大学に籍を置く研究者らが取り上げ、大学アカデミズムの弊害を突き崩している点なのだ。

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