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坂本繁二郎展 研ぎ澄まされた穏やかな世界

「八女の月」1969年 油彩 京都国立近代美術館
「八女の月」1969年 油彩 京都国立近代美術館
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 中央画壇と離れた九州の地で豊潤な香り高い作品を残し、日本の近代美術を代表する洋画家、坂本繁二郎(はんじろう)(1882~1969年)。福岡県の久留米市美術館で没後50年を記念した「坂本繁二郎展」(4~6月)が開かれ、現在、東京都練馬区の練馬区立美術館に巡回している。繊細な色彩に包まれた静かな世界を感じることができる。(渋沢和彦)

 初期に「うすれ日」と題する油彩画がある。木につながれた牛を描いた穏やかな作品。優しい光に包まれた牛は、背景の海や地とともに、風景に溶け込み一体となって存在する。文部省美術展覧会(文展)に出品し、文豪、夏目漱石の目にとまり評論で取り上げたことで注目された。

 坂本は20歳で生まれ故郷の福岡県久留米市から上京。画塾で学び、才能ある仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)して作画に打ち込んだ。「うすれ日」が世に出たのは30歳のとき。以後、主に二科展を発表の場として頭角を現していった。

 39歳のときにはフランスに留学。約3年間過ごして帰国。東京ではなく久留米に帰り、近隣で現在の八女(やめ)市にアトリエを構え、87歳で亡くなるまでひたすら制作に没頭した。

 「描きたいものは目の前にいくらでもある」と述べ、有名作の牛や馬以外に、身の回りにあるものを好んで題材にした。植木鉢や達磨、卵や柿など、刻々と変化する光とともに対象物の配置を変えながら繊細な色彩で描出。何の変哲もないものを深みのある存在へと昇華させた。

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