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“動かない”だんじり「彫物の美」が人気

彫師・河合賢申さん(左上)の工房内の様子=大阪府岸和田市
彫師・河合賢申さん(左上)の工房内の様子=大阪府岸和田市

 だんじりといえば、豪快な動きに興奮を呼び起こされるが、地車や太鼓台に施された木彫りの美しさにひかれるファンが増えている。だんじり祭の本場、大阪府岸和田市で開かれただんじり彫刻の展覧会には、1日だけで1千人以上が来場。だんじり彫刻をインターネットの交流サイト(SNS)に投稿するファンも。繊細で躍動感あふれる木工彫刻の芸術性に加え、日本神話や源平合戦などの歴史に空想を織り交ぜたストーリー性がファンの心をつかんでいる。

 古い街並みが残る岸和田城下の紀州街道。彫り師の河合賢申(けんしん)さん(51)の工房「賢申堂」には、だんじり彫刻の工程を一目見ようと、ファンが訪れる。河合さんは、現在、岸和田を含む泉州地域で主流となっている、淡路島伝来の淡路彫の技を受け継ぐ職人だ。日本神話や源平合戦、大坂の陣、花鳥、霊獣などの世界を木彫で自在に表現。大阪府内や兵庫県内からの注文を請け負っている。

 今年4月には、神戸市東灘区の住之江地区からの依頼で、獅子や鷲、合戦場面などの伝統的な意匠の彫物を3年がかりで完成させた。「最近は昔のようにお任せではなく、地域の人から合戦絵巻のこの場面を、など細かな希望があります。彫物に関心を持ってもらえていると感じています」と河合さん。

 祭りで勇壮に駆け回るだんじりが、休憩時間に止まったときを狙って、彫物の写真撮影に興じるファンも目立つという。「彫物が好きな人は、動かないだんじり彫刻を細部までなめるように見て、撮影した画像をインスタグラムやフェイスブックなどにアップしています」

 そんなだんじり彫刻の魅力を発信しようと、河合さんらが有志で立ち上げた「だんじり彫刻研究会」は今年6月、岸和田市で「彫物(ほりもん)ひねもす博覧会」を初開催。傑作といわれる地車や太鼓台の彫刻、彫師が特別に制作した木彫の置物などを展示し、「彫物座談会」も行った。1日だけだったが、全国から1200人が来場した。

 さらに同研究会は、だんじり彫刻の歴史を解説しながら美しい写真を盛り込んだ「図説だんじり彫刻の魅力」(だんじり彫刻研究会)を刊行。全国から注文が寄せられているという。

 同研究会のメンバーで、だんじり祭に詳しい篠笛(しのぶえ)奏者の森田玲(あきら)さん(43)は、「動く地車や太鼓台も魅力的だが、職人たちの匠の技に支えられた芸術性の高い美の世界を堪能してもらいたい」と話している。

 「図説だんじり彫刻の魅力」の問い合わせは、河合さん(kenshindou915@gmail.com)。

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