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【がん電話相談から】子宮体がん術後の再発に不安

瀧澤憲・がん研有明病院医師(婦人科)
瀧澤憲・がん研有明病院医師(婦人科)

■標準手術と化学療法 「5年生存率」70%も

 Q 43歳の女性です。平成27(2015)年に乳がんと診断され、左乳房を全摘し、ホルモン療法(タモキシフェン)を始めました。不正性器出血がありましたが、子宮内膜が厚くなっているとの診断でした。だが、検査はなく不安になって別の施設を受診したところ、子宮体がんと診断され(ステージ1B)、手術後には3Cと言われました。今後の治療はどうしたらいいでしょうか。

 A 子宮体がんは、リンパ節や卵巣に転移があったので3C期となりますが、病理組織診断では、がんの顔つき(病理学的悪性度)が類内膜がんG2(組織分化度が3段階の2番目)に該当し、ハイリスクではありません。ただ、再発リスクを抑えるために術後の化学療法が推奨されます。パクリタキセル+カルボプラチン(TC療法)をすでに4サイクル受けていますから、さらに2サイクル、合計6サイクルの治療を受けることを勧めます。

 Q 化学療法の効果はどのくらいでしょうか。

 A 3C期なので、今後のことを心配するのは当然です。あなたのような場合、標準手術+術後化学療法で70%前後の5年生存率が期待できます。術後放射線療法が主体的であった2000年以前の日本のデータや、現時点でも術後放射線療法が主体的な欧米のデータでは50%前後の5年生存率なので、現在の日本の治療方針は妥当であると考えられます。

 Q それでも再発が不安です。

 A 術後化学療法の5年生存率を逆に言うと30%は再発するリスクがあり、何かほかにやることはないかと心配するのは無理ないでしょう。今回の場合、手術後の病理検査で骨盤リンパ節に転移がありましたが、腹部大動脈周囲のリンパ節廓清(かくせい)は行われなかったとのことです。子宮体がんでは、骨盤リンパ節転移があれば、腹部大動脈周囲リンパ節転移が50%くらいあるので、これが心配です。

 Q その場合、再手術になるのでしょうか。

 A そうですね。再開腹して腹部大動脈周囲リンパ節廓清をする決断は、言うは易く行うは難しとなることが多いです。

 再手術しない場合は、TC化学療法を6サイクル終えたらPET-CTを行って、腹部大動脈周囲のリンパ節転移が陰性であることを確認していただきましょう。がんの顔つきがG2では、リンパ節転移から肝臓や肺への転移というリスクがあり、少なくとも2年間はCTなどの画像診断を6カ月ごとに行って、リンパ節転移の有無を調べましょう。もし、腹部大動脈周囲のリンパ節が腫大してくれば(転移と考えて)、手術で摘出することで治癒が期待できます。(構成 大家俊夫)

 回答には、がん研有明病院の瀧澤憲医師(前婦人科部長)が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力・がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談内容が本欄やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。

 ≪ミニ解説≫乳がんのホルモン療法との関係は?

 今回の相談者は乳がんの手術後、乳がんの再発リスクを抑えるために5年近くホルモン療法(タモキシフェン)を受けており、「これが子宮体がんを招いたのでは」という懸念も抱いている。

 瀧澤医師はまず、併発の可能性について「タモキシフェン使用の有無にかかわらず、乳がん患者が子宮体がんを併発することが5%程度ある」とデータを示して説明する。また、タモキシフェンを使った場合については「子宮体がんの原因になることは少ないが、無関係とも言い切れない」と指摘する。

 「今回の患者さんは乳がん再発より、子宮体がん再発のリスクの方が心配されるので、治療は子宮体がんを優先し、タモキシフェンの再開は控える方がよいでしょう」と助言した。

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