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【理研が語る】ありがとう「京」 平尾公彦

30日にシャットダウンされるスーパーコンピューター「京」
30日にシャットダウンされるスーパーコンピューター「京」
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 平成24年9月に本格運用を開始し、多くの人々に利用されてきたスーパーコンピューター「京」が今月30日、シャットダウンする。感慨深いものがある。

 「2番じゃダメなんですか?」という21年の事業仕分けでの一幕を覚えている方も多いだろう。当時、「京」は演算能力世界一という目標に向けて開発が進められていた。しかし、この事業仕分けで限りなくゼロに近い予算縮減の判断を下され、プロジェクトは事実上の凍結となった。

 この逆境に対し、多くの科学者が立ち上がった。日本の科学技術力を停滞させてはならないという強い思いと働きかけにより、「京」プロジェクトは復活。そして当初の目標通りに世界一を達成し、科学技術大国・日本の健在ぶりを世界にアピールした。

 スパコンは現代の科学技術の発展にとって不可欠な基盤技術である。「京」は宇宙や素粒子あるいは生命科学の研究などの基礎科学は言うに及ばず、地球温暖化の科学的予測、地震や津波、集中豪雨の予測による被害軽減、遺伝子治療の基礎となるヒトゲノムの解析やタンパク質の解析によるドラッグデザイン、新しいデバイスや材料の設計、自動車の衝突シミュレーションやジェットエンジンの設計など、私たちの生活に直結する最先端の科学技術分野でワクワクするような素晴らしい成果を挙げてきた。

 「京」の出現でわが国の計算科学、シミュレーション分野は一気に花が開いた。「京」以前には見渡すことのできなかった眺望を「京」は与えてくれた。次に何をなすべきかという新たな課題や可能性も「京」は示唆してくれた。あの時、「京」プロジェクトが凍結されていたらと思うとゾッとする。

 「京」は、世界のスパコンの性能ランキングTOP500で、24(2011)年に2期連続(6、11月)で世界一になった。あれから8年経ち、「京」はCPUのスピードを競うTOP500では世界20位に後退したが、Graph500やHPCGといった、より実用性を重視した性能ランキングではいまなお、世界トップクラスの表彰を受けている。

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