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「文藝」創刊号以来86年ぶり異例の3刷 韓国文学に集まる注目

文藝2019年秋号
文藝2019年秋号

 日韓関係が冷え込む中、日韓の作家の短編競作や対談などを掲載した河出書房新社の季刊文芸誌「文藝2019年秋号」が昭和8年の創刊号以来86年ぶりに2度の緊急増刷をした。同号では「韓国・フェミニズム・日本」を特集。韓国文学界で注目が集まるフェミニズムに焦点を当て、日本文学とのつながりを探っている。韓国文学ブームやフェミニズムへの関心の高まりがヒットの背景にあるとみられる。

 SNSを中心に発売前から話題が集まり、7月5日の発売後、問い合わせが殺到。即日予約のみで完売しても注文の勢いは止まらず、3刷で累計1万4千部となった。秋に単行本化も予定されている。

 文芸誌の重版自体が非常に珍しく、リニューアルした前号から編集長を務める文藝の坂上陽子さんは「あまりの反響で驚いている。文芸誌を初めて買ったという声も多く、今まで手に取ったことのない層に届いたのはうれしい」と話す。

 特集を組むきっかけは、韓国で2016年に発行されたチョ・ナムジュの「82年生まれ、キム・ジヨン」(筑摩書房)の日本でのヒットだ。女性であるがゆえのさまざまな差別や不当な扱いがつづられた作品で、韓国では100万部のベストセラーとなった。昨年12月に邦訳版が出版され、海外小説としては異例の13万部を発行した。

 文藝秋号は30~40代の世代にもっとも売れており、男性の読者も多いという。坂上さんは「東京医大の不正入試など、日本でもフェミニズムに対する注目は集まっている。フェミニズムは女性だけではなく男性も興味を持つテーマになっている」と話す。

 書評家の倉本さおりさんはこの現象について、「韓国の文化に興味がある人にとっては政治と文化というのは別で、日韓関係が悪化しているからといって文化面で断絶はよくないという考えがあるのではないか」と分析している。(大渡美咲)

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