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【忘れられた同胞・フィリピン残留2世(番外編)】復讐劇、愛国行進曲…運命に翻弄された人々の物語

戦時中に父を地元ゲリラに殺害された日系残留2世のアントニオ・タワラさん(中央)=7月3日、フィリピン・プエルトプリンセサ市(橋本昌宗撮影)
戦時中に父を地元ゲリラに殺害された日系残留2世のアントニオ・タワラさん(中央)=7月3日、フィリピン・プエルトプリンセサ市(橋本昌宗撮影)
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 7000以上の島から成る東南アジアの島国、フィリピン。戦前、成功を夢見てこの地に渡った日本人移民の子として生まれ、日本国籍もフィリピン国籍も持たない「無国籍状態」になっている残留2世に、現地で取材した。戦争に翻弄されながら懸命に生き抜いた2世たちの数奇な運命と日本への思いを3回にわたって連載記事で紹介したが、書き切れなかった「物語」を紹介したい。(橋本昌宗)

壮絶な復讐(ふくしゅう)劇

 夕食時の室内を照らすランプの油が燃える匂い、「子供だけは助けてくれ」と父が家を飛び出した後、2階で息を潜めていたときの恐怖…

 フィリピン西部パラワン州の田舎町、リサールで暮らすフリオ・オオシタさん(89)は、日米開戦翌年の1942年6月、父親のマツイチさんが現地の反日ゲリラに殺害されたときの様子を、克明に記憶していた。

 その詳細は連載(中)で記事化したが、「悲劇」には続きがあった。

 フリオさんに取材した翌日、姉のナルシサさん(101)に会うことができた。高齢で数日間寝ては時々起きるという生活を送っており、直接話をすることはできなかったが、日本語を話せたというナルシサさんが常々語っていた話を、家族が教えてくれた。

 ナルシサさんは35年ごろ、中国人の男性と結婚した。家族によると、父のマツイチさんが殺害された後、この男性が実行犯を捜し出し、「復讐」を果たしたという。男性はその罪で20年もの間、服役。10年以上たったある日、ナルシサさんを呼び出し、「あなたは自分の人生を生きてくれ」と離婚を告げた。

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