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【学ナビ】多様な学問融合 防災・復興に生かせ

「人文・社会学系研究が防災に果たす役割は大きい」と話す規矩学長。研究所の教員の半数は文系だという(同大提供)
「人文・社会学系研究が防災に果たす役割は大きい」と話す規矩学長。研究所の教員の半数は文系だという(同大提供)
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 ■災害対策から街の再整備まで多彩な知見を集約

 9月1日は防災の日。東日本大震災や西日本豪雨などを契機に防災意識が高まる中、大学の防災研究が変化を遂げている。カギとなるのは多様な学問の融合。工学や心理学、情報通信技術などといった、多様な知見を持ち寄り、備える防災・減災対策から、復興に関わる諸課題までを一緒に考える取り組みが広がっている。(宮田奈津子)

 ◆多領域で新視点浮上

 「防災・減災・復興学は新しい学問。これまでは工学を中心に防災・減災を研究してきたが、復興となった途端に切り口が変わり、分断される。人の生活には切れ目がなく、防災を考える人は先の復興を、復興を考える人は防災から、流れの中で考える必要がある」

 そう訴えるのは関東学院大学(横浜市)の規矩大義(きく・ひろよし)学長だ。同大は平成29年、『防災・減災・復興学研究所』を設立。理工学部をはじめ、人間共生、看護など全11学部が参加し、学際的に防災から復興までを結びつけた研究を行っている。

 研究テーマは復興時のコミュニティーや人的ネットワークデザイン、IT技術の応用、石油コンビナートの耐震対策と幅広い。

 規矩学長は「液状化研究に携わってきたが、工学の立場からの研究だけでよかったのか…と思う。災害後、街を整備しても、以前の文化的活動が失われたら、それは復興なのか? 多様な学問を融合することで新たな疑問が浮上する。これからはそうした視点が重要」と話す。

 ◆連携で最新技術活用

 東京・西新宿に地上28階建てキャンパスを擁するのは工学院大学だ。首都直下地震や集中豪雨による水害など都市型複合災害への危機感は強い。同大では建築学部と情報学部による研究プロジェクト『エリア防災+新宿』を推進している。

 建築学部の久田嘉章教授は「自助・共助で逃げる必要のない建物・エリア実現を目指す。情報学部と連携することで、建築学で得られている震災対策の成果に加え、最先端の情報通信技術(ICT)活用が実現する」と指摘する。

 同大では、あらゆる災害に対応可能なオールハザード対応キットを構築中だ。一時滞在施設の開設・運営を迅速化するマニュアルや開設キットをはじめ、ドローンによるビル外壁の損傷調査や上空からの滞留者誘導、VR(仮想現実)による訓練環境試作に挑戦している。

 ほかにも、エネルギー・情報通信インフラを確保するため、地域防災拠点を移動できる車、自立移動式ゼロエネルギーユニットを研究。高層建築の補強技術に加え、早期復旧のための簡便な被害チェックシートを開発している。

 久田教授は「超高層ビルの耐震性は高く、基本的には安全。しかし、室内の安全性確保にあわせ、新宿は観光客など昼間人口を多く抱え、人々の混乱や軽傷者対応といった課題は多い。学問の連携と地道な対策で災害を乗り切っていきたい」としている。

                   ◇

 ■生態学など異分野も

 防災研究は、多領域かつ異分野融合が進んでいる。立命館大学防災フロンティア研究センター(滋賀県草津市)は、センサー工学や歴史都市防災の連携によって、災害を早い段階で検知し、古都を守る対策作りを目指す。東京大学総合防災情報研究センター(東京都文京区)は、情報の役割に注目し、社会情報学や地震火山学が協働。琉球大学島嶼(とうしょ)防災研究センター(沖縄県西原町)は固有文化の保全を目的に沖縄学や生態学を取り入れている。

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