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【がん電話相談から】直腸がん、肛門温存術を受けたい

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■病巣からの位置と大きさで適応判断

 Q 50歳の男性です。今年6月に病院で精密検査を受けたところ、直腸がんと診断されました。リンパ節転移はなくステージ2でした。手術の場合、人工肛門になる可能性もゼロではないようです。人工肛門は想像するだけで気持ちが重くなります。肛門を温存できると聞いたのですが、どういう手術ですか。

 A 直腸は大腸の一部で、一番肛門に近いところにあります。直腸がんの肛門温存術というのは、肛門近くにがんができた場合でも、がんを根治的に切除した上で、肛門を温存する(残す)という術式です。

 Q 温存術とは何を残すのですか。

 A ポイントとなるのは、肛門括約筋を残せるかどうかにあります。肛門が排便しない時には締まり、排便時に弛緩(しかん)するのは肛門括約筋の機能があってこそなのです。肛門括約筋には、内肛門括約筋と外肛門括約筋があります。内肛門括約筋は無意識の状態でも締まり就寝時などにも便が自然に出てしまわないようにする機能が、外肛門括約筋はもよおしても意識的に締めることのできる機能があります。

 Q 温存術の条件は。

 A 直腸がんの手術では一般的に、がんの病巣から肛門側へ約2センチ余分に距離を取ってがんを取り切ります。たとえば、がんの位置が肛門から上に5センチのところなら、2センチ余分に肛門側まで切除しても、括約筋があるすぐ上で切ることになります。両方の括約筋が残り、肛門の温存が期待できます。

 さらに肛門近くにがんがある場合でも、内肛門括約筋の一部を残す「内肛門括約筋間直腸切除術(ISR)」という肛門温存の術式があります。ただし、内肛門括約筋の機能は多少落ちるので、排便回数が多くなったり、失禁したりする症状(後遺症)が残ることもあります。

 Q 私のようにステージ2でも、肛門温存術は可能でしょうか。

 A 肛門からのがんの位置とその大きさが適応の判断になります。ステージ2だから一律にダメとかではありません。

 前述したようにがんの位置が肛門から上に5センチなら温存が期待できますが、3センチ以内の場合はどうでしょう。内肛門括約筋を1センチほど残すことはできますが、外肛門括約筋を切除することがあり、この場合、肛門温存は難しくなります。

 Q 地元で肛門温存術が受けられない場合は?

 A まず、肛門温存術が適応かどうかが前提となります。他の地域で手術を受ければ、自宅からの距離や、その後の通院にもかかわる問題があります。希望する手術をとるか利便性をとるか、それはご自身の選択次第でしょう。(構成 大家俊夫)

 回答には、がん研有明病院消化器センター長・大腸外科部長の福長洋介医師が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力・がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談内容が本欄やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。

 ≪ミニ解説≫人工肛門 普通の生活可能に

 直腸がんの手術で人工肛門となる一つの目安として、福長医師は「がんが大きく、外肛門括約筋にも浸潤している症状」などを挙げる。こうした場合はがん根治を目指して切除するので、肛門温存はできず、人工肛門になるという。

 それでも「人工肛門も意外と悪くない。悲観することはない」。装具や技術の発達があり、「人工肛門を選択しても、ほぼ手術前の生活が可能。風呂(公共のものも含めて)にも入れるし、運動もできる。仕事にも支障はない」(福長医師)ようだ。

 たとえば、排便孔(こう)が直接腹部から出る人工肛門では、皮膚に土台(面板)を張って漏れないようにして、ビニールの袋をかぶせて便を回収する。福長医師は「面板は数日ごとに張り替えが必要。この操作に慣れれば、日常生活をほぼ普通に送れるようになる」とアドバイスする。

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