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【常磐路ノート】心打たれた「水戸空襲」の詩

 水戸市の県立図書館で11日、開かれた茨城文芸協会(後藤卓三会長)主催のセミナー「終戦の日 8月15日を語ろう」に参加。副会長で詩人の内藤紀久枝さん(80)が朗読した自作の詩に心を打たれた。

 「抱擁」と題された作品の書き出しはこうだ。「男は飛びついて女を抱いた 女はしがみつく強い力に振り回されて棒立ちになった 男は抱擁の手をゆるめることなく 女を軸にして何度も宙を回った」

 終戦間際の昭和20年8月2日未明、米軍のB29爆撃機160機が来襲し、300人以上(水戸市史などによる)が犠牲となった「水戸空襲」。一夜明け、妻子と再会できた内藤さんの父の喜びようが伝わる詩だが、「抱きつかれた母は恥ずかしかったと思う」と内藤さんは苦笑する。

 父は水戸車掌区勤務の鉄道員で、空襲時は夜勤で不在。水戸市下梅香(現在の宮町一丁目)の自宅は隣家まで焼けたが、母子計7人は崖下へ逃げて無事だった。一方、元近所で親しかった母子5人は退避した防空壕(ごう)から全員が遺体で見つかり、「忘れられない悲しい思い出」と内藤さん。

 父は戦後間もなく37歳で早世。空襲当時は国民学校(現在の小学校)1年の6歳で「戦争の恐ろしさはまだ分からなかった」という内藤さんは「稚(おさ)ない目に映った 抱擁の究極の意味を悟ったとき すでに父は他界していた」と詩を締めくくっている。

 今年で戦後74年。こうした貴重な戦争体験を紙面で伝えることも記者の務めと考えている。

(三浦馨)

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