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【ビブリオエッセー】酒と人の切っても切れない関係

 意外に思われるかもしれないが、俳優、植木等は下戸だったらしい。そんな知られざる情報が書いてあるのは、本の雑誌編集部の下戸班によって編集された『下戸の夜』という本だ。

 酒飲みから見た下戸の生態や下戸による酒飲みへの反論などが様々な視点で書かれている。まさに下戸の下戸による下戸のための本だ。世間には酒にまつわるエピソードや歌があふれている。しかし、それらに感情移入できない人間も大勢いるはずで、私もその一人だ。私は酒がまったく飲めないので、下戸の言葉に終始共感しながら読んだ。

 この本を開けば、下戸仲間が酒に対して思いを綴っている。そこには、酒への様々な感情が渦巻いている。酒への憧れを隠さない者もいれば、逆に酒なんて必要ないと持論を展開する者もいる。

 酒好きも下戸も、同じ人間だ。お互いを尊重し合うことだって可能なはず。酒を飲めないなら飲めないなりに振る舞うから、無理に酒を薦めるような真似はしないでほしいというのが私の本音だ。酒好きの人間がこの本を読むと、下戸の世界を知ることができる。酒に対する厳しい本音が見え隠れする文章もあるが、どうか下戸を嫌いにならないでほしい。

 この本を読んで思うのが、下戸とはいえ酒と無縁の人生を送ることはできないということ。一人でいるならいざ知らず、人と関わる以上は、なぜだかそこに酒が介入してくる。飲めても飲めなくても、酒と人は切っても切れない関係にあるのだ。

広島県廿日市市 中野啓一25     

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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