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【忘れられた同胞・フィリピン残留2世(中)】 「子供だけは見逃してくれ」地元ゲリラに懇願、殺された父 記憶以外に証拠なく

 混乱の中でフリオさんらは別の家に逃げ込んだ。身を潜めていると、外でマツイチさんが「自分は殺されてもいいから、子供だけは見逃してくれ」と襲撃犯の男たちに懇願する声が聞こえた。その後、銃声がとどろき、男たちはフリオさんらの自宅の中を物色して去った。混乱が収まり、外に出ると、マツイチさんとイワオさんが倒れて死んでいた。

 戦後、周囲で「日本人の子供も殺される」という噂が立つこともあった。危険から身を守るため、イワオさんの娘、ホセフィナ・イワオさん(82)は、母方の親類の姓「モレノ」を名乗って暮らした。一方、農業や漁業で生計を立てたフリオさんの一家は「オオシタ」姓を使い続けた。

 「ずっと日本人だと思い生きてきた。危険はあったが、この名前は日本人の父がここで生きた証だから」

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 ホセフィナさんとフリオさんは、ともに父の身元探しを続けた。先に見つかったのはホセフィナさんだった。現在の大分県杵築(きつき)市に本籍がある「岩尾久衛(きゅうえい)」が父と判明した。日本国籍も取得できたが、フリオさんは、いまなお身元が分からないままだ。

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