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【忘れられた同胞・フィリピン残留2世(上)】無国籍状態 命あるうちルーツ知りたい

 兄から聞いた話では、父の名前は「タミスケ・ヤマモト」。周囲からは「モト」と呼ばれ、戦前のプエルトプリンセサ市で一番大きい商店を建てるなど腕の良い大工として知られていたという。

 ただ、70年代にマニラの公文書館で見つかった両親の結婚証明書には、父の名前は「オノラト・ミデル・ヤマモト」、出身地は日本の「Olea」と書かれていた。日本語としては奇妙な名前や地名だ。「日本語が分からない係官が口頭で聞き取り、記録した可能性がある」。PNLSCの猪俣典弘事務局長は、こう指摘する。

 フィリピンで生まれ育った2世が、父の名前や出身地を正しく記憶できているとは限らない。過去には「シロカベ」と申告していた2世の本当の名字が、「ツルオカ」だった例もあった。猪俣さんは言う。

 「時間がたてばたつほど、身元探しは困難さを増す。あらゆる方法を模索して思いに応えたい」

 戦前、多くの日本人が新天地を求めてフィリピンに渡り、必死に働いて家族を持った。しかし、先の大戦が全てを奪い去り、現地に取り残された2世が無国籍状態になるという悲劇があった。「死ぬ前に日本人だと認めてほしい」。終戦から74年を迎える今、忘れられた残留2世=同胞の声に耳を傾けたい。

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