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【いっしょに】(中)出張美容「トリップ サロン アン」 おしゃれして笑顔に

(上)髪を丁寧にセットしていく美容師の若菜香織さん
(上)髪を丁寧にセットしていく美容師の若菜香織さん
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 1950年代の洋楽が流れ、ベルガモットの香りが漂う。鏡のそばには、古き良きアメリカ風のビンテージ雑貨が置かれていた。

 7月下旬、特別養護老人ホーム「やわらぎの郷」(千葉県市川市)の理容室は、本物の美容院のような雰囲気に様変わりしていた。出張美容を手がける「トリップ サロン アン」の施術の日だ。

 「お体の調子はいかがですか?」

 美容師の若菜香織さん(33)が、慣れた手つきで、80代の女性入所者の髪にトリートメントをつける。「もともとのお住まいはどちらでしたか?」「新宿なんですよ」-。会話が弾むよう、ときには昔の映画音楽をかけたり、戦時中の話を聞いたり、相手の鮮明な記憶に働きかける。

 若菜さんの丁寧なブローで、髪全体にボリュームが出てくる。鏡に映る女性の姿は施術前より若々しい。「さっぱりしました。ありがとうございます」と笑みがこぼれた。

◆時間に融通利く

 高齢や病気などのため、美容院に通えなくなった人のもとを訪れ、カットやパーマなどのサービスを提供するのが出張美容だ。

 若菜さんは、都内の美容院で働いていたが妊娠を機に退職。子供2人を育てながら業務委託などでも働いたが、今年4月からアンの登録社員になった。

 土日が忙しい美容院勤務と違い、仕事は平日のみ。若菜さんは午前9時から午後4時まで働く。チームで動くため子供の急な病気にも対応してもらえる。「長く働きたいと思って選びました。出張美容は将来性があり、時間に融通が利くのもありがたい」と若菜さん。

 やりがいも大きい。美容院では客と1対1の関係だが、出張美容では施設職員や家族が同席することも。「利用者の方が周囲からほめられて笑顔になる様子を見ると、いい仕事ができたのかな、と思えます」

 施術前には部屋まで入所者を迎えにいく。車いすを押すこともあれば、手をとって一緒に歩くことも。研修で学んだ介護知識を生かし、寄り添う時間を大切にする。「体の不調は見た目では分からないので戸惑いもありました。でも、心の底からの『ありがとう』という言葉が励みになります」という。

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