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【話の肖像画】バレエダンサー・熊川哲也(47)(11)子供たちにプロへの懸け橋

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Kバレエユースの公演「くるみ割り人形」に向けて、若手を指導する(左奥)=「Kバレエユース」公式インスタグラムから
Kバレエユースの公演「くるみ割り人形」に向けて、若手を指導する(左奥)=「Kバレエユース」公式インスタグラムから

 〈平成11年にKバレエ カンパニーを設立してから、これまでに公演数は900回を超える。平均すると年間50回近くになり、観客動員数は約10万人に上る〉

 国からの助成金を受けることなく、民間の企業や劇場と提携して、それまでの日本のバレエ界にはなかった規模の活動をこれまでコンスタントに続けてこられました。この20年間で日本を代表するプロのバレエ団として確固たる地位は築いたと思っています。

 カンパニーを立ち上げたとき、「日本のバレエ環境を変えたい」「プロのダンサーを育てたい」と話していました。設立当初からトウシューズも支給していますし、ソリスト以上には給料も払っています。

 当時の日本のバレエ界は習い事の延長線上にあり、ダンサーも生徒の延長だった。公演の際には、出演者にチケットノルマが課せられ、ほとんどの観客は関係者か出演者の親戚や知人でした。

 舞台だけでは到底食べていけないので、バレエ教室で教えたり、発表会にゲスト出演したりして生計を立てていた。これではプロ意識が育つはずがありません。プロのバレエダンサーというより、バレリーナという何か美しいステータスのようなものが認知されていた時代だったと思います。

 5年ほど前に、一般社団法人「日本バレエ団連盟」という全国組織ができ、Kバレエ カンパニーも所属しないかと誘いを受けましたが、欧米のプロのバレエ団と日本の現状を比較して、いろいろ考えるところもあったのでお断りしました。

 〈15年、カンパニーは若手ダンサーの育成を目的に「Kバレエスクール」を設立。現在、全国6カ所で開校し、生徒数は約800人に上る。25年には22歳までの若手ダンサーによるジュニアカンパニー「Kバレエユース」を立ち上げた〉

 カンパニーの存続と発展のために、隠れた才能を見いだし、ゼロから生徒を育て、将来有望な生徒には世に出るきっかけをつくりたいと思いました。Kバレエスクールでは4歳から年齢とレベルに応じてクラス分けをし、独自につくったバレエ教師の資格を持った者が指導に当たっています。

 Kバレエユースはプロへの懸け橋という位置付けで、本物の舞台を体験させています。若い世代の舞台経験がコンクールに集中してしまっている環境を危惧し、公演では、フル編成のオーケストラの生演奏に、カンパニーの公演で使用するものと同じ舞台美術や衣装を使い、プロと同じ環境で古典作品を踊る経験を提供しています。

 僕の夢は、目を輝かせて一生懸命稽古に励んでいる子供たちが一人でも多く、カンパニーの舞台に立ち、僕の作品を踊り、拍手喝采を浴びる姿をみることです。願わくば、その中から僕を超えるスターダンサーが生まれてほしい。プロのダンサーを目指して、レッスンに通う子供たちの靴がスタジオの玄関に並んでいるのをみるたびに胸が熱くなります。(聞き手 水沼啓子)

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