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【話の肖像画】バレエダンサー・熊川哲也(47)(9)ベートーヴェンと激闘

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「ベートーヴェン 第九」初演で踊る。けがから復帰し、10カ月ぶりの舞台となった=平成20年3月(木本忍撮影)
「ベートーヴェン 第九」初演で踊る。けがから復帰し、10カ月ぶりの舞台となった=平成20年3月(木本忍撮影)

 〈ベートーヴェン作曲「第九交響曲」をバレエ作品として創作した。この作品は平成20年3月、「TBS 赤坂ACTシアター」開場のプレミアム・オープニングで初演された〉

 バレエ創造の源泉は、なんといっても音楽です。音楽がなければバレエは生まれていません。チャイコフスキーが「白鳥の湖」を作曲していなければ、今も世界中のバレエ団が上演し続けるバレエの名作も生まれていませんでした。バレエは、ダンサーの肉体よりも、まず素晴らしい音楽ありきなのです。

 音楽として崇高で神々しい「第九」を視覚化させ、色を付けてしまうこと自体リスクを伴うものでした。音楽界の重鎮からは皮肉を言われたこともあります。しかし、自分に対する自信と破天荒な勢いで生きてきたので、無謀ともいえる挑戦にもチャレンジできたのだと思います。

 ベートーヴェンと対峙(たいじ)した、あの時間には苦悩もありました。やはり作品をつくるなら、ベートーヴェンと対等な立場に立たないといけない。ベートーヴェンに胸を借りるようなことをしてはいけない。ベートーヴェンと熊川哲也が同じ時代に生きていて、同じ芸術家同士の壮絶な戦いを霊的な感覚で繰り広げていた感じでしょうか。そんな中からシナジー(相乗効果)が生まれて、総合芸術が誕生したらいいな、という気持ちで取り組みました。

 ベートーヴェンが生きていたら本人からほめていただけたら幸せですが、でもきっと「おまえ、余計なことをするな」と言われるのではないでしょうか。ただベートーヴェンとバレエが融合する舞台を見たお客さまが、「これはすごいね。きっとベートーヴェンも喜ぶね」と感じてくれれば満足です。

 〈「第九」を地球46億年の歴史に重ね、4楽章にそれぞれ「大地の叫び」「海からの創世」などテーマを設定した。最終章には自身もバレエダンサーとして出演した〉

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