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【川村妙慶の人生相談】知らぬ間に実家の墓がしまわれてショック

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

 私は3人姉妹の次女で既婚、息子も孫もいます。実家は未婚の姉と妹が継ぎました。30年以上前、私の嫁ぎ先の墓と隣り合わせに、姉が実家の墓を建てました。以来、信心深い私は、毎月、墓参りをしてきました。

 ところが認知症となった姉が老人ホームに入居したのを機に、妹が実家の墓を更地にし、永代供養墓に移してしまいました。「私や、私の息子に迷惑をかけてはいけない」というのが妹の言い分ですが、お墓参りが癒やしだった私は気落ちし、寂しさでいっぱいです。認知症の姉もこのことを知らず、不憫(ふびん)でなりません。が、妹を責めるわけにもいきません。

 信心深く生きてきたのに、なぜこんな目に遭うのか。落ち込んだ気持ちを晴らすにはどうすればいいでしょうか。(神奈川県、80代、女性)

回答

 ようこそお便りくださいました。「心の拠(よ)りどころ」を無くされ、どれほど寂しい思いでしょう。妹さんのお気持ちも配慮され、あなたの優しさを感じます。

 さて、あなたにとってお墓とはなんですか? ご先祖さまに会いにいく場所ですか? お墓は、その人が生きたことを証明する形であり、亡き人がそこに居るのではありません。

 阿弥陀経に「倶会一処(くえいっしょ)」というお言葉があります「倶(とも)に一つ同じ処(ところ)で出遇(であ)う」という意味です。

 この同じ処というのは極楽浄土のことで、そこは比較、差別、偏見がなく、すべての人がともに清らかに救われる場所です。お墓に「倶会一処」と刻まれていることがあります。ご先祖さまがいらっしゃるのは、お墓ではなく、倶会一処の極楽浄土の世界なのです。

 一方、私たちは俗世間にいます。そこでは人々が喜怒哀楽、利害関係、欲望に流されて、自分を見失いそうになっています。

 煩悩を抱えた私たちがお墓で手を合わせたときに不安や欲望の炎がすっと消えるのは、ご先祖さまと阿弥陀さまがいる清らかな世界に出遇わせていただくからです。

 亡き人は、お墓にいるのではありません。あなたがお参りする心に存在しているのです。それが「倶会一処」です。

 お墓がなくなってしまったのなら、永代供養をしていただいたお寺に行きましょう。遠方であれば、家にお内仏(仏壇)を購入し、手を合わせませんか。

 どうぞ、お念仏申す(お念仏を称(とな)える)日々を続けてください。そうすればいつでも、ご先祖さまがいる清らかな世界とつながることができます。その姿をずっと見てきたあなたのお子さんも、お参りを続けてくれるでしょう。そして妹さんには、日頃、感じたことをできるだけ伝えていきましょう。あなたの心が落ち着き、安心して過ごせるようになることを願っています。

回答者

川村妙慶 僧侶兼アナウンサー。昭和39年生まれ。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログの法話を日替わりで更新している。著書に新刊「仏さまが導く 心が楽になる生き方」(三笠書房)、「人生後半こう生きなはれ」(講談社+α新書)など。

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 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078 産経新聞文化部「人生相談 あすへのヒント」係まで。

 〈メール〉life@sankei.co.jp

 〈FAX〉03・3270・2424

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