PR

ライフ ライフ

【がん電話相談から】抗がん剤は苦痛も再発怖い 予防的な治療で投与

その他の写真を見る(1/2枚)

 ■リスク軽減5~10%

 Q 80歳の男性です。私はこれまで病気ひとつせず、ずっと健康体でやってきました。ところがせきとたんがひどくなり、生検で組織を取ったら肺がんと診断されました。

 3月に手術し、左肺上葉を切除。リンパ節転移はなく、ステージ1Aと初期のがんでした。ただ、腫瘍近くに浸潤が判明し、6月から抗がん剤を4クール(期間)の予定で開始。抗がん剤は予防的な治療と説明されましたが、今後も続けるべきでしょうか。

 A まず肺がんの手術後に、抗がん剤治療が必要かどうか、一般論からお話ししましょう。がんを切除しても、「100%これで治った」と言えないケースがあります。手術時にある程度がんが進行している場合、がん細胞が体のどこかに隠れている可能性があり、再発リスクはゼロではありません。再発予防の方法として、患者さんと相談して抗がん剤を打つことがあります。あなたの例もこれに該当しますね。

 Q 私の抗がん剤はカルボプラチンとTS-1(ティーエスワン)です。

 A 術後化学療法としてはプラチナ併用療法が標準的とされますが、今回は比較的副作用が弱い薬剤です。ご高齢を考慮したのだと思います。

 Q そうはいっても抗がん剤による私の体の苦痛はたいへんなものです。もう次は辞めたいのですが、再発も怖いというのが本音です。抗がん剤を続けたとして、再発リスクにどのくらい効果が期待できるのですか。

 A 抗がん剤で再発リスクが下がるのは5~10%とみられます。

 Q そんなに低いのですか。

 A 患者さんによっては「何もしないで再発リスクにおびえて生活するのはいやだ」と抗がん剤を受ける人がいます。とはいえ、術後の治療は効果が目に見えづらいこともあり、ご高齢の方などは抗がん剤を希望されないこともあります。

 以下はあくまで私の個人的な意見です。75歳以下なら勧めるでしょうが、あなたの場合は副作用が強いということであれば、抗がん剤を続けなくてもいいかもしれません。

 Q 抗がん剤を辞めて再発した場合は?

 A もし再発したら、再び抗がん剤で治療することもあります。あるいは緩和ケアという選択もあるかもしれません。

 Q いまの主治医は抗がん剤を出してくれた内科医になるのですか。

 A そうですね。その先生とじっくり相談されるのがいいと思います。(構成 大家俊夫)

                   ◇

 回答には、がん研有明病院の西尾誠人呼吸器内科部長が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力・がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。了承をいただいた上、相談内容が本欄に匿名で掲載されることがあります。

 ■副作用少ない薬剤の開発進む

 抗がん剤によって副作用が生じるのは、がん細胞と正常細胞を同時に攻撃するからだ。細胞分裂が活発な部分を攻撃する性質から、活発な増殖を繰り返すがん細胞だけでなく、正常細胞のうち細胞分裂が活発な頭皮や消化器などに抗がん剤が及び、脱毛や吐き気、倦怠(けんたい)感という副作用につながる。

 一方、近年、副作用が少ない薬剤の開発も進んでいる。その一つ、がん細胞を狙って攻撃する分子標的薬は保険適用の薬として使えるようになっている。本庶佑(たすく)・京都大特別教授のノーベル賞受賞で話題となった免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)も抗がん剤のような副作用は少ない。ただ、免疫細胞の攻撃が強くなり過ぎて生じた小腸炎などの副作用が報告されている。

 今回は術後の治療として抗がん剤が選択された。西尾医師は「がんのステージや再発などの病状によって、保険適用で投与される薬や実施される治療方法が決められており、現状では分子標的薬やオプジーボをすべての患者で使えるわけではない」としている。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ