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【編集者のおすすめ】『世界史のなかの蒙古襲来 モンゴルから見た高麗と日本』

■浮かびあがる歴史の情景

 日本とモンゴルの接点といえば、鎌倉時代の「蒙古襲来」すなわち元寇。元のモンゴル人が攻めてきたという前提で語られる国難です。2度とも水際で追い返したので「神風が吹いた」「鎌倉武士が強かった」「元軍の矢が尽きた」など、日本史では勝因が盛んに論じられてきました。

 大陸側ではどう語られているのでしょうか。当のフビライ・ハーンにとっては「辺境のエピソードの一つにすぎない」うえに、モンゴル人は、近年まで学校で教えられてもいなかったとか。本書では、モンゴル史を専門とする著者が、『元史』『高麗史』などの一次資料をひもときながら世界史の視点で「蒙古襲来」を再検証していきます。

 元はなぜ日本征討に来たのかを考えるとき、「モンゴル人が主になって攻めてきたものではなかったという視点をもつことが必要」と当初の固定観念からまず解き放たれます。元には、モンゴル人はいましたが、それより多くのほかの種族がいたためです。

 元の直轄地だった高麗の軍が、日本への先導役をさせられたことは、近年の研究により知られています。加えて、日本遠征の総司令官はモンゴル人の可能性が極めて低く、副司令官も高麗人、漢人、南宋人などで構成され、「そこにモンゴル人はほとんどいなかった」という著者の見解には衝撃を受けるでしょう。日本史の一場面として語られがちだった史実を、モンゴル側から見ることで、壮大な世界史の情景が浮かびあがり、歴史好きを飽きさせない一冊です。(宮脇淳子著/扶桑社・1400円+税)

 扶桑社書籍編集部・小原美千代

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