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【話の肖像画】マラソンランナー・君原健二(78)(11)ゴール無限 地球5周の完走

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75歳の君原はボストンマラソンを4時間53分14秒で完走した=2016年4月18日、ボストン(共同)
75歳の君原はボストンマラソンを4時間53分14秒で完走した=2016年4月18日、ボストン(共同)

 〈ボストンマラソンとは粋な大会で、優勝者は50年後の大会に招待される。

 東京、メキシコ両五輪の中間年、1966年大会に優勝した君原健二は2016年のレースに招待され、4時間53分14秒で完走した。当時75歳で、74回目のフルマラソンだった。特筆すべきは、五輪3大会を含む35回の競技マラソンと、その後に一般ランナーとして走ったフルマラソンを含めた74回のすべてを、一度の途中棄権もなく、完走したことだ〉

 75歳で74回目のフルマラソンを走り、なんとか年齢と同じ回数のマラソンを走ろうという気持ちもあったのですが、2年後は80歳になります。虚脱感といいますか、走れないことはないだろうと思うのですが、最近は意欲がなくなってきてしまって、フルマラソンはボストンが最後になるのだろうと思います。

 棄権が一度もないといっても、中身からいえば自慢できないレースもありました。このまま走り続けても蛇足のようなレースになるが、やめれば収容車が来るまで恥をさらさなくてはならない。それならば、ゆっくりとでも走れば、次のレースの練習の一環にはなるかもしれない。そうしたレースのことです。ただ皆さんから「一度も棄権していないのは立派だ」といわれるようになり、完走しなくてはいけないと思うようにはなりました。

 〈連載をお読みいただいた方には分かっていただけるだろうが、君原の言葉は常に含蓄に富み、名言の宝庫である。そこに目をつけた出版社が君原語録ともいえそうな「人生の走り方 あなたにも自分に合った生き方のストライドがある」(勁文社)を出している。面白いので、見出しを一部拾ってみる。

 「劣等感は忍耐を育てる養成ギブスである」「臆病者でもいいじゃないか」「ゴールテープを切りたければ自分のペースで走ること」「紙一枚は薄いが重ねれば本になる」「走れないと感じたら目の前にニンジンをぶら下げよ」「自分を知らぬ者ほど他人の目を拒絶する」「山を直線的に進む登山家はいない」「苦しいと感じるのは成長している証拠である」「生きていることそのものが幸せなことである」「歩いてでもゴールする 這ってでもゴールする」「人生はタスキを渡す駅伝に似ている」〉

 それだけ、いろいろな人に教わってきた内容が多いということでしょうか。走ることで多くの人にお会いすることができて、本当に幸せだと思います。その意味では私を陸上競技に誘ってくれた中学のクラスメートは、人生の大恩人ですね。

 もうフルマラソンは走れません。そのつもりもないのですが、走ることは続けます。地球1周は、約4万キロといわれます。私は東京オリンピックまでに地球1周分を走り、現在は5周目を走っています。最近は走る量が減って、なかなか進みませんけど。私は「ゴール無限」という言葉が好きで、常に目標や希望を持ち続けることが、充実した人生の生き方だと思っています。いまはなんとか、地球5周目の完走を目標にしたいと考えています。走れるかもしれません。(聞き手 別府育郎) =次回は28日から、バレエダンサーの熊川哲也さん

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