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【THE INTERVIEW】作家・小川洋子さん 言葉のない所にも広い世界 『ゴリラの森、言葉の海』

 孫を世話することも多い。山極さんとの対談で知った、子供たちを楽しく遊ばせる理想的なゴリラの父親の子育てに思いをはせ、「自分が息子の子育てをしていたときは、余裕がなくていらいらしていたけれど、今は寛大な気持ちで向き合える。泣くなら好きなだけ泣いて、という感じ」。

 作家生活30年余り。「小説は書けば書くほど難しい」。言葉に置きかえられないはずの心を、言葉で表現しようとするのが作家だとすれば、背負わされている矛盾を思い知るという。

 「しかし、ゴリラは言葉で了解を取り合わなくても、ちゃんと社会を作っている。人間が頂点と思っている世界は実はちっぽけな所で、言葉のない所にも広い広い世界がある」。言葉でコミュニケーションを取り合う世界をはるかに突き抜けた領域-。「作家が本当に目指さなければならないのは、そういう世界に読み手を連れて行くこと。言葉を使ってね。そこに到達しないと小説は面白くならない」と話す。

 それは、「忍耐強いゴリラのボスのような方」だという山極さんを通して、もの言わぬゴリラがもたらしてくれた作家としての気づきだ。(山極寿一さんとの対談本、新潮社・1500円+税)(横山由紀子)

 《3つのQ》

 Q影響を受けた人は? ものを書く原点になったのはアンネ・フランク。日記を書くことで大きな自由を得たアンネに、書くことの意味を教えられた。

 Q作家になっていなかったら? 今の生活スタイルとは正反対の人生を送ってみたい。各地を転戦するテニス選手のように世界を旅する人生を味わってみたい。

 Q息抜きには何を? 両親や愛犬を見送った寂しさを、エンターテインメントのミュージカルが癒やしてくれる。最近は「レ・ミゼラブル」に感動した。

【プロフィル】小川洋子

 おがわ・ようこ 昭和37年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。63年、「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。平成3年「妊娠カレンダー」で芥川賞、16年「博士の愛した数式」で本屋大賞を受賞。小説「ブラフマンの埋葬」「ミーナの行進」「ことり」「琥珀のまたたき」など著書多数。

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