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【ロングセラーを読む】『ハーメルンの笛吹き男』阿部謹也著

 ■中世社会の暗がりに光

 日本では鎌倉時代後期にあたる1284年。ドイツ北部の小都市ハーメルンに色とりどりの布でできた服を着た不思議な男が現れた。男は町を荒らすネズミの群れを笛の音で集めて退治したが、市民たちは約束した報酬を支払わなかった。怒ってハーメルンを去った男は6月26日に再び現れ、笛を吹き鳴らして130人の子供を集めると、一緒に町を出て忽然(こつぜん)と姿を消してしまった…。

 「ハーメルンの笛吹き男」として知られるこの不気味な伝説だが、後世に物語として潤色された部分を取り除くと、1284年6月26日にハーメルンで130人の子供が行方不明になったという核心部分は古記録から歴史的事実として認められる。どうしてこの事件が現在の形に変貌したのか。従来の歴史学が注目してこなかった部分に目を向けて「社会史」と呼ばれるジャンルを確立した、ヨーロッパ中世史家の阿部謹也(1935~2006年)の出世作だ。昭和49年に平凡社から発刊され、中世史ブームの火付け役となった。63年にちくま文庫に収録されて以降も、34刷12万8千部に上る。

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