PR

ライフ ライフ

【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(602)ツバメの恩返し

 月に1回、身体のメンテナンスに出掛けている。

 場所は、廃校となった小学校の元教室で開かれている「こころと身体の診療室」。

 私は、ここで、鍼灸(しんきゅう)師のサトウさんに肩の凝りを丁寧にほぐしてもらったり、お灸や針をうってもらったりする。このメンテナンスを怠ると、パソコンの前に長々座っている仕事のせいで肩や首筋がコチコチになる。このコチコチがほぐれると、身体が楽になるばかりか、気持ちの方もふんわりとしてくる。

 ふんわりついでに、百草(ひゃくそう)の香りが漂うなかでたわいない話を交わし合う時間も楽しい。

 先日は、彼女からこんな話を聞いた。

 きっかけは、その日、施術室の窓にぶらさげてあった青いプラスチックのかごについて。

 聞けば、10日ほど前。窓から見える軒下のコンクリート壁に作られた燕(つばめ)の巣が、突然、落下したのだそうな。しかも、巣にはヒナが5羽もいて、なんと巣もろともに彼らも落ちてしまったとか。

 目の前で起きたこの大惨事にサトウさんは大パニック。「もう。どうしよう、どうしたらいいの」と大騒ぎになった。

 それで思いついたのが、百円均一、つまり、ヒャッキンのかご。人間の匂いが付くと、親鳥が子育て放棄をしかねないと、軍手をして、こわれた巣をそっとかごに入れた。さらに、落ちたヒナたちを中におさめ、カーテンフックで窓の下につるしたのだそうだ。

 「ところがね、ヒナが1羽だけ、草の中に隠れて出てこないのよ」と彼女。エサをとってもどってきた親鳥もまた、遠くから青いかごに入った巣を眺めているばかり。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ