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【彰往考来 新時代のヒストリア】人類の未来とAIの歴史 松原仁・はこだて未来大学教授(6)

シンギュラリティや人工知能(AI)をめぐる「問題」について語る=北海道函館市のはこだて未来大学(関厚夫撮影)
シンギュラリティや人工知能(AI)をめぐる「問題」について語る=北海道函館市のはこだて未来大学(関厚夫撮影)
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 もちろん、人間は有機物で構成された生物で、コンピューターは半導体の材料であるシリコン(ケイ素)でつくられた非生物です。「哲学的ゾンビ」(※)という思考実験がありますが、ぼくがAIに抱くのは「ゾンビ」というよりも宇宙人のイメージです。シリコンでできた宇宙人がいて、とても頭が良く、将棋や囲碁を覚え始めたら、地球人より強くなってしまったという…。

 また哲学的ゾンビについていえば、「自分以外の他人が哲学的ゾンビではない」と言い切ることはできません。ならば哲学的ゾンビの域に達したAIは、人間と事実上同等だといえるかもしれません。

「直観」ゆえの過失

 「アルファ碁」をはじめディープラーニング(深層学習)を基盤にしたAIやソフトについては、いわば「直観」で答えを見つけているのだといえます。直観だから理屈がつかない。でもこれは囲碁や将棋のプロも同じこと。対局後に振り返るさいには、論理的に説明するけれど、実は対局中は直観で決めたんだろうなと思われる手筋が多々見受けられます。このことは、熟練の専門医が患者を診断するさいも同様でしょう。

 人間も直観で判断しているけれど、その後まことしやかに因果関係を説明する論理的思考能力を発達させてきたのです。ディープラーニングの現状については直観だけが先行してしまい、「後で理屈をつける」という技術が確立していない中途段階にあるのだと理解しています。

 さてなぜ人間が直観で判断するかというと、いちいち理屈で考えていると時間がかかりすぎるということが主因でしょう。一方、直観に頼ると、間違いが起こることがあります。残念ながら名人や名医もその例外ではありません。

 ですので、人間と同様の知能をAIに持たせようとすると、間違いを起こすことは避けられません。人間が1%の確率で間違えるところを未来の進歩したAIは0・001%しか間違えないかもしれません。でも「ゼロ」になることはないと思います。

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